課長の沼にはハマらない【JN】

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定時の10分前






JN「今日はもう帰っていいよ」








ジミンと話してから生きた心地がしなくて、仕事をのろのろやってたら課長からそう言われた




そうだ


今日はジミンの家から一応必要な分だけ持ってくるんだ








JN「今日できなかった分は明日に回すから」







そう言われてゆっくり立ってから頭をぺこりと下げる



立ってからもたもたと歩いて会社を出た辺りに課長からカトクが送られた




JN〈僕も定時には帰るから〉





そう送られたので《分かりました》とだけ返した









それから、ジミンとの家に着いて鍵でドアを開けてゆっくり中に入る





自分の部屋から服とか、最低限に必要なものと通帳を持って家を出た







出る時に見えたリビングが驚くほど整頓されていて静かなその場所がとても寂しく感じた









課長の家に着いた時にまだ課長がいなかったので課長の部屋の前で座って待機する








疲れた







ただその一言だけ








明日合コンがあると考えると一気にやる気がなくなった


この一週間、よく頑張りました。









忘れなきゃとは思っても、ジミンのことは忘れられるわけないし



まだお互い好きなら少しは元に戻るチャンスがあるかもしれない





かと言って課長の言ってたことも正しいわけで









考えていたら頭がゴチャゴチャしてきて、涙が出てきた









「大丈夫？」






上から声をかけられて上を見るとそこには知らない男の人が立っていた







『…え、誰ですか』




「…君も誰？」









目の前の男の人は分かりやすく訳が分からないと言う顔をしていて








『え、だってここ課長の家じゃ、』



「ここ、僕の家だよ」









慌てて立ち上がって部屋番号を見ると1025と書いてあった




あれ、じゃあ課長の家は？






朝の記憶を思い出してみる









『1125だ…ご、ごごめんなさい！』








そう言うと男の人が口を四角にして笑うので私も恥ずかしくて俯く









「悩みがあったらちゃんと周りの人に言うんだよ。一人で泣くのは悲しいからね」









そう頭を撫でて言ってきたので『すいません、失礼します』と言ってエレベーターに向かった






あれは絶対たらしだ
天然系のとんでもないたらしだ





なんて失礼なことを思いながらエレベーターに乗り11階を押した

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