君に伝える短編集（女子向け）

お前と俺は [壱] 藤堂高虎 ページ24

いつでもお前は、俺の敵だった。

それなのに俺は、お前と対峙していくうちに、お前に惹かれていった。

出来ればお前と並び立つものと在りたいと思ったことも、何度だってある。

それでも俺は、お前の敵でしかない。

俺は俺の立場を忘れることをしてはいけない。俺も、お前も。

だからこそ俺たちはいつでも敵同士だ。今はもう、それでいいと思ってる。それもまた、お前との繋がりの一つだと。

お前と立場を忘れ、桜舞い散る空の下で盃を交わした時は、いつまでも忘れない。

ただいつか。

お前と雌雄が決した時にこの繋がりさえも絶える時が来る。

それだけが今は……少し怖い。

戦国無双 藤堂高虎

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