四畳半トリップ~《秘密の部屋》結~【ハリー･ポッター】 (ページ10)

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バジリスクを天敵のするものは蜘蛛、蜘蛛が避難するのはバジリスクが来る前触れ。

バジリスクにとっての致命的なものは雄鶏が時をつくる声で、唯一それからは逃げることになる。

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この本の記述の下には、見慣れたハーマイオニーの筆跡で一言だけ走り書きがされていた。

それは''パイプ''であった。

「これだよ、二人とも、これなんだ」と希望を込めて言ったハリーは、私とロンの顔を交互に見た。

ハ「これが答えだ。怪物はバジリスクだから僕とAは、そいつの蛇語を聞くことが出来たんだ」

ハリーはそこまで言っては、顔を上げてカーテンの隙間から、周りを覗いてからまた低い声で息を潜める。

ハ「バジリスクは視線で人を殺す。でも今回は誰も死んでない」

ロ「ということは、誰もその目を見ていないってこと？」

「うん」と言ったハリーは全てが繋がったように、真剣な顔で下を見ていた。

ハ「致命的なのは雄鳥が時をつくる声。ハグリッドの雄鳥が殺されてた。蜘蛛が逃げ出すのは前触れ！何もかもぴったりだ！」

「それじゃあ」と言ったロンは声は少しだけかすかに共鳴するように震えている弦、そのものであった。

ロ「その怪物はどうやって移動したんだ……そんなに大蛇なら」

『パイプ、配管だよ。ハーマイオニーが書き記してくれてる』

私はその走り書きをトントンとしては、真剣な面持ちでハーマイオニーの方を見る。

「秘密の部屋への入口！」と言ったロンの声が掠れた声で訴えた。

ロ「もし、トイレの中だったら？もし────」

ハ「嘆きのマートルのトイレだったら！」

二人はこの信じられないような事実に興奮し、ゾワゾワとした感覚になれないのかカーテンで仕切られているベッドの周りで、歩き回った。

「ということは」とハリーが言った。

ハ「蛇語を話せるのは僕とAの他にいるはずだ。そうやってバジリスクを操ったんだ」

「それで、これからどうするんだ？」と希望という輝きに満ちたロンの声が興奮を抑えきれないと訴えている。

ハ「教員室に行こう。あと十分で、マクゴナガル先生が戻って来るはずだ。まもなく休憩時間だ」

〇

二人を追って階段をおりる私は気持ちが沈みこんだ。

沈んで沈んで、井戸の底の闇の彼方に落ちていきそうになった。

この先を知っている私はどうもいつものような気のいい返事をし返すことも億劫に感じられた。