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先生のビーズのような目に、涙がキラリと光「そうでしょうとも」と先生は言うのだ。
マ「そうでしょうとも。 襲われた人たちの友達が、一番辛い思いをしてきたことでしょう───良いですとも、グレンジャーのお見舞いを許可します。マダム・ポンフリーには、私から許可が出たと言いなさい」
罰則を与えられなかったことが、半信半疑のままその場を立ち去り、角を曲がった時、先生の鼻をかむ音が聞こえた。
ロ「あれは……中々、君の作り話の中で傑作だったぜ」
こうなると、医務室に行って、マダム・ポンフリーに「マクゴナガル先生から許可をもらって、ハーマイオニーの見舞いに来た」と言うほかはない。
私達はマートルに逢いに行く手前で、まず先にハーマイオニーに会わねばならなくなった。
マダム・ポンフリーは中に入れてはくれたが、渋々といった感じが否めない。
「石になった人に話し掛けてもなんにもならないでしょう」と言われたが、ハーマイオニーの傍の椅子に座ってみると、私は「まったくだ」と納得した。
ハーマイオニーは、見舞い客が来ていることに全然気づいていないということは明らかであった。
ベッド脇の小机に「心配するな」と話し掛けたとしても、効果は同じかもしれない。
「でも、ハーマイオニーが自分を襲ったやつを本当に見たと思うかい?」と、ロンが、ハーマイオニーの硬直した顔を悲しげに見ながら口を開いた。
ロ「だって、そいつがこっそり忍び寄って襲ったのだとしたら、誰も見てないだろう────」
『そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない』
私がぽつりと返事をし返すと、ロンは困ったように頭をかいた。
そんなロンと私のやり取りに気にも留めていないハリーは、どうやら彼女の右手に興味を示したらしい。
ハリーはハーマイオニーの右手に握りしめられた紙切れを私たちに知らせては、破らないようにゆっくりと引き抜く。
ハリーは、皺を伸ばすのももどかしく、私もロンも屈み込んで一緒に読んだ。
︽
我らが世界を排徊する多くの怪獣、怪物の中でも、最も珍しく、最も破壊的であるという点で、バジリスクの右に出るものはない。
''毒蛇の王''とも呼ばれる。
殺しの方法は非常に珍しく、毒液を分泌する牙による殺傷とは別に、バジリスクの一睨みが致命的なものになるのである。
その眼からの視線に囚われた者は即死することになる。
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作者名:白眉 | 作成日時:2022年5月5日 11時