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〇
「僕ら、あのトイレに何度も入ってたんだぜ。 その間、マートルはたった個室三つしか離れていなかったんだ」と、ロンは翌朝の朝食の席で悔しそうに言った。
ロ「あの時なら聞けたのに、今じゃ……なぁ」
蜘蛛を探すことさえ手間取ったのだ。
ましてや先生の目を盗んで、女子トイレに潜り込むことなど、特に、最初の犠牲者が出た場所の、すぐ脇の女子トイレ。
とても現実的とは言えない。
ところが、その日最初の授業、変身術で起きた出来事のお陰で、数週間ぶりに''秘密の部屋''のことなど頭から吹っ飛んだ。
授業がはじまって十分も経った頃、マクゴナガル先生が、一週間後の六月一日から期末試験がはじまると発表した。
『試験？』と私は驚きあきれるような声を出す。
『こんな時に、まだ試験があるんですか？』
「こんなときでさえ学校を閉鎖しないのは、皆さんが教育を受けるためです」と、先生は厳しく窘めた。
マ「ですから、試験はいつものように行ないます。 皆さん、しっかり復習していることと思いますが」
しっかりとした復習──────── 城がこんな状態なのに、試験があるとは考えてもみなかった。
教室中が不満の声で溢れ、マクゴナガル先生はますます顔をしかめる。
マ「ブラック、あなたの育ての親、校長からのお言い付けです。学校はできるだけ普通通りに、この一年間に、皆さんがどれだけ学んだかを確かめるということです」
私は、これからスリッパに変身させられるはずの二羽の白ウサギを見下ろす。
今年一年、何を学んだのか。
ロンのほうを見ると、''禁じられた森''に行ってそこに住むようにと、たった今、命令されたかのような顔をしていた。
「こんなもんで試験が受けられると思うか？」と言ったロンは、ちょうど口笛を吹くような大きな音を立てはじめた自分の杖を持ち上げて、私とハリーに問い掛けた。
〇
最初の試験の三日前、朝食の席で、マクゴナガル先生がまた発表があると言った。
「良い知らせです」と言った途端に、静かになるどころか、大広間は大騒ぎになる。
「ダンブルドアが戻って来るんだ！」と、何人かが歓声をあげ、「クィデイッチの試合が再開されるんだ！」と、ウッドが興奮して吼えるような声を出した。
やっと騒ぎが静まったとき、先生が発表する。
マ「スプラウト先生のお話では、とうとうマンドレイクが収穫できるとのことです。事件の終わりを迎えることを期待しています」
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作者名：白眉 | 作成日時：2022年5月5日 11時
