四畳半トリップ~《秘密の部屋》結~【ハリー･ポッター】 (ページ20)

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細長く奥へと延びる薄明りの部屋の端に立っていた。

ヘビが絡み合う彫刻を施された石の柱が、上へ上へと聳え、暗闇に吸い込まれて見えなくなっている天井を支えている。

妖しい緑色がかった薄明かりの中に、黒々とした影を映し出ていた。

私とハリーは杖を握りしめ、左右一対になった、ヘビの彫刻が施された柱の間を前進する。

押し黙り、小さな呼吸音と足音がやけに響いていた。

ここから私でも命取りであった。

私が死なないという確証はない。

役目を持ってこの世界に来て、有利に進めるような要素を付与されても、役目を達する前に死ぬこともあるだろう。

額を伝う汗が鼻筋を通って、鼻先で下にポタリと落ちる。

彫刻のヘビの虚ろな眼が、私たちの姿をずっと追っているような気さえする。

最後の柱のところまで来ると、部屋の天井に届くほど高く聳える石像が、壁を背にして立っていた。

巨大なその石像の顔を、私とハリーは首を伸ばして見上げる。

年老いた猿のような顔に細長い顎ヒゲがあり、その顎ヒゲが流れるように彫刻された魔法使いの石のローブ裾のあたりまで延びていた。

その下に灰色の巨大な足が二本、滑らかな床を踏みしめていた。

そして、足の間に、燃えるような赤毛で、黒いローブの小さな姿が、うつぶせに横たわっている。

「ジニー！」と小声で叫び、ハリーはその姿の傍に駆け寄り、膝をついて名前を呼ぶ。

私も喉をきゅっと締められるような思いをしながら、ジニーに駆け寄った。

すると卒然、カラリと変な音がし、私は胃が揺れ動いた気がしたが構わず駆け寄る。

ハリーがジニーを抱き起こし、私はその光景をハリーの後ろから眺めていた。

ハ「ジニー、目を覚まして」

ハリーはジニーを揺さぶり、必死で呟く。

ジニーの頭はだらりと虚しく垂れ、グラグラと揺すられるままに動いた。

「その子は目を覚ましはしない」

物静かな声がした。

腹の底がヒヤッとしたのが分かった。

私はその声がした方を振り向く。

背の高い、黒髪の少年が、すぐ傍の柱にもたれてこちらを見ていた。

まるで曇りガラスの向こうに居るかのように、輪郭が奇妙にぼやけている。

しかし、まぎれもなくあの人物であった。

『────トム･リドル』

私はハリーとリドルの間で仁王立ち、目を離すことなくリドルを見上げた。

彼もこちらをまっすぐ見据えた。

彼は嫣然(えんぜん)と女性のように微笑んだ。

やはり腹の底がヒヤッとした。