四畳半トリップ~《秘密の部屋》結~【ハリー･ポッター】 (ページ1)

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恐怖に凍りついて立ちすくみ、ただ待つだけ私たちの目に、闇が重苦しくのしかかる。

ゴロゴロという奇妙な音がしたかと思うと、急に静かになり、静かになったかと思えば、音を出す。

しかしこちらに攻撃を仕掛けるようなことはなく、ただ私たちの目の前にいるだけのように感じれた。

ハ「何をしているんだろう」

ロ「飛びかかる準備だろう」

突然、右の方に閃光が走る。

暗闇の中での眩しい光に、反射的に手をかざして目を覆った。

ロンが大声で私たちの名前を呼ばしめた。

その声色は緊張が取れて、声の調子が変わっていることを私たちに知らせる。

ロ「僕たちの車だ！行こう！」

ロンに引っ張られ、つまずきながらロンのあとについて、滑ったり、転んだりしながら光のほうに向かった。

まもなく開けた場所に出ると、ロンの言っていたことは確かなものとなり、私たちの目の前にあったのはあの車。

誰も乗っていない。

深い木の茂みに囲まれ、木の枝が屋根のように重なり合っている下で、ヘッドライトをギラつかせているだけ。

ロンが口をあんぐり開けて近づくと、車はゆっくりと、まるで大きなトルコ石色の犬が、飼い主に挨拶するかのようにすり寄って来た。

ロ「こいつ、ずっとここに居たんだ！」

ロンは車の周りを歩いて、嬉しそうな調子で車をくまなく見つめている。

『でも、ご覧よ。すっかり森の中で野生化しちゃってる』

車の泥よけは傷だらけで泥でいっぱい、''勝手に''森の中を動き廻っていたよう。

眩しいばかりにヘッドライトをギラつかせる車を見かねて、私は杖先に光を宿すのを止めると、いつの間にか蛙になっていたクィリナスが肩へと戻っていた。

私が推測するに、小心者のクィリナスは車に驚いて蛙になったというわけだろう。

車を発見した場所から道に戻ろうと、ハリーが促した時だった。

ハ「さあ行こう、蜘蛛を見失っちゃった───探さないと」

私はそんなハリーについて行くが、少し後ろの方にいたロンは返事もせず、身動きすらしない。

振り返りロンの方を見ると、彼の顔は恐怖で土気色になって、私とハリーの向かう先をじっと目を注いでいる。

『あっ！』と振り返る前にカシャッカシャッと大きな音がしたかと思うと、何か長くて毛むくじゃらなものが、目の前にいたハリーの身体を持ち上げた。

瞬きをするとハリーは逆さまに宙吊りになってしまっていた。

嫌な冷や汗が背をつたい、嫌な予感というものが胸元に渦巻く。