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主の少し後ろを歩き、ドタバタと聞こえる手入れ部屋の方へ向かうと、廊下には血が何滴か滴り落ちている。
紅い血は少し黒を含み、私と主の顔を歪ませる。
ほのかに香る血の香り。
手入れ部屋に着く一歩手前で主は吐きそうに口を両手で塞ぐと、「あんた！ 」と息を詰めたような声を私たちに浴びせた山姥切が私を咎めるような目で見ていた。
山姥切「来るなって言っただろう」
「でも、私は主だし─────」と主が言った時、山姥切の後ろの方で「おい」と低く呟く声が耳に入り、私は山姥切の後ろをよく見ようと体を傾けた。
私は心臓を直接掴まれたような心地がし、主はギクリと大きく反応しては口を押さえて、どこかへと走り去った。
「あ、おい！」と山姥切は呼びかけたが主は止まることなく右に曲がって姿を消す。
「ほっとけばいい、自分の刀の傷を見れない奴に触れられたくはない」と呟いたのは白い包帯を赤く滲ませていた骨喰藤四郎であった。
その瞳は信用しないとでも言いたげに走り去った主の方を見ていた。
戻れ、と骨喰を手入れ部屋の方へ押しやった山姥切は、日が当たらない薄暗い廊下でまだ動かずにいた私を見据えた。
余計なことをしたのは一目瞭然で言い難い羞恥心に襲われた私は、この場を見繕う言葉を探していた。
『あの、ごめん。 私、そんなこと知らなくて─────』
『余計なことを』と言いかけた時、被せるように山姥切は「全くだ」と怒りを込めて言葉を放つ。
山姥切「主が気に食わないなら、即刻この本丸から去れ。 あんたがいなくても、この本丸は十分やっていけるからな」
そう吐き捨てると山姥切は手入れ部屋の方に行き、私は何も言えず数分の間、動かずにいた。
〇
『なんだよ、あれ───知らなかっただけなのに』とじわじわとさっきのことが思い出されては、山姥切に対する怒りが募る。
自分の寝所に戻って、胡座をかいたり、本を読んだりして気を紛らわそうとしても、じわじわと湧き上がる。
大体、知らなくてやってしまったことにあんなふうに言う？
ましてや出ていけって言ってるような言葉まで言われて。
筆舌に尽くし難い怒りに襲われ、唇を噛み締めて『ぐぬぬ』と何とか押さえ込もうと試みる。
私は何も悪いことはしてないはず。
主の思いを思っての行動で、怒られるのって筋違いなんじゃないのか。
私は絶対的に正しいことをしたのではないか。
そんな思いを繰り返し思い浮かべつつ、結局は私が悪かったのだと認める。
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5(プロフ) - マーガレットさん» コメントありがとうございます！ 鶴丸、検討してみます！ (2022年7月18日 20時) (
レス) id: 1c6ab8c3e1 (このIDを非表示/違反報告)
マーガレット(プロフ) - とても面白かったです！続き楽しみにしてます！落ちは鶴丸がいいです！ (2022年7月9日 2時) (レス) id: d2c059af4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白眉 | 作成日時：2022年6月25日 20時
