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『主！ 』と少し早口に言うと私服で事務仕事をしていた主は汗を拭いながら、驚いたように大きな目で私の方を見た。
その後ろでは何やらただ事ではないと感じ取った山姥切が膝立ちをして今にでも立ち上がりそうな勢いを見せている。
『骨喰藤四郎が重症で手入れ部屋を─────』
「第二部隊が帰還したのか」と小さく呟いた山姥切は立ち上がり、「怪我人は他に居ないのか」と短く私に尋ねた。
『いや、見た限りは』
そう返すと今度は立ち上がろうとしていた主を山姥切は振り返りながら制した。
山姥切「あんたはいい」
執務室の近くにある池の魚が飛び跳ねたのか、少し浅はかな音が執務室に響き渡った。
私がどうしてと口にする前に立ち上がった主は「え、私、行くよ」と声を出した。
山姥切「重症ということは少し''厄介''だ。 手伝い札で何とかする、だからあんたはここにいろ」
そういう山姥切の言葉に私は違和感を覚え、するりと私の傍を横切り、早足で手入れ部屋に向かう山姥切の後ろ姿を眺めつつ、私も額に滲んだ汗を拭いた。
『主、どうする？』
私は戸惑うような主を前にして、私もまた戸惑うような声を出す。
目の前にいるまだ思春期ばかりの十四歳の少女は、分からなそうに曖昧に微笑んだ。
○
手入れ部屋の方が騒がしくなる音を聞きながら、主はソワソワとして事務仕事をしている主の傍で外の景色を見る。
時たま止まる主の手を見ながら、私は『手入れ部屋に行く？』と声を出すのを戸惑ってしまう。
言った方がいいだろうと思うけれど、決して言ってはいけないような気もする。
空気を事細かに読んできた私でも悩んでしまうような空気が漂い、ついには『早く山姥切よ、帰ってきてくれ』とばかり願うことになった。
審神者の執務室から見えるゲームの本丸画面とまるっきり一緒の風景を見ては、主の方を見る。
でもやっぱりここは声をかけた方がいいに違いないと断言した私は、おそるおそる『あるじ』と小さく呟いた。
すると待っていたと言わんばかりの「なに？ 雷切丸」と言った声は、私に懇願しているように聞こえる。
『見に行く？ 手入れ部屋へ』
私は頭を傾げながら、主の様子を伺う。
主は少しばかり手を止めて、長々と文字が書かれている書類をじっと見つめた。
その瞳は一向に動く気配はなく、私は言わない方が良かったのではないのかと人知れず後悔した。
そんな私を知らない主は立ち上がって、まっすぐとした目で私を見る。
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5(プロフ) - マーガレットさん» コメントありがとうございます！ 鶴丸、検討してみます！ (2022年7月18日 20時) (
レス) id: 1c6ab8c3e1 (このIDを非表示/違反報告)
マーガレット(プロフ) - とても面白かったです！続き楽しみにしてます！落ちは鶴丸がいいです！ (2022年7月9日 2時) (レス) id: d2c059af4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白眉 | 作成日時：2022年6月25日 20時
