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彼は包丁のリズムに合わせて、滔々と語る。
光忠「本丸の裏山に繋がる道を歩いていくと少し開けたところに出て、べたべたと謎めいたビラが貼ってあるところに着く。
地の底から怪しい音楽が湧き上がってきて、地獄巡りへでも出かけるような気がするんだよ。するとね、いきなりボロな屋敷に着くんだ」
私は背後でその言葉を聞きながら、『なるほどね』とか『へえ』と適度な相槌を打ち、私は皿の場所を探していた。
光忠「そのボロな屋敷はね、この本丸の男士内で''
『きのと、
光忠「
僕はその右側の廊下をずっと奥まで歩いたことがあるんだ。 奥へ行くほど廊下は段々狭くなって、ついにはバーのような紅い椅子と木の卓子が連なるだけの暗い廊下に着く。
その近くにはぼんやりとランプが燃えていて、そこまで行くと何だか寒い気がしてね」
私はぼんやりと食器棚を見つめていた時、ハッと我に返ったように目の前がはっきりと見え始めた。
背後から聞こえる鍋の音は静かになり、思い起こせば、燭台切が野菜を切る音すらも止んでいた。
そうしてぼんやりと食器棚には大きな影が写り、すぐ後ろからじんわりとした温かさが感じられる。
「冥土へ続いているという話だよ」と彼は言った。
その声は私の真後ろからと言うよりも、私の上から聞こえてきた。
長い手が私の手から白い皿をとり、食器棚の中で上段の方にカチャリと置いた。
光忠「皿はここだよ」
何だかその低い声に私は妖術をかけられたような気がしたが、小さく『ありがとう』と返事をすると「どういたしまして」と上から低い声が降ってくる。
長い影は私の影を覆い隠し、食器棚の硝子は橙色に映え、大きな影は揺らめいて、燭台切は依然として動かず、私も動かない。
光忠「''気をつけてね''、雷切丸くん」
何に？ と聞けない私は『分かりました』と短く返事をした。
光忠「君もいつかはそこに行くだろうけど、左側の廊下は決して行っちゃいけないよ」
そしてまた、どうして？と聞けない私がだんまりを決め込んでいると、彼は可愛い透明な袋に入れられたクッキーを私の目の前に出した。
「はい、今日のおやつだよ」と優しい声で言った。
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5(プロフ) - マーガレットさん» コメントありがとうございます！ 鶴丸、検討してみます！ (2022年7月18日 20時) (
レス) id: 1c6ab8c3e1 (このIDを非表示/違反報告)
マーガレット(プロフ) - とても面白かったです！続き楽しみにしてます！落ちは鶴丸がいいです！ (2022年7月9日 2時) (レス) id: d2c059af4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白眉 | 作成日時：2022年6月25日 20時
