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もちろん、その人影に従って私は『ちょっと、待って』と声を出しながら、住民用玄関の方に向かった。
しかしここでおかしなことに気づかなければいけない。
こうも呼び止める声を出しているのになぜ人影は止まらないのか─────何やらが私を呼び寄せているのではないか。
そういうことを考える間もなく、私は住民用玄関を出た人影を追って、私も玄関から外へ出たのだが、その瞬間、足元の地面が無くなり、私はフッと体が軽くなった。
石のように落下し、ドスンと体に強い衝撃が走った時、私は『え、どういうこと？』と素っ頓狂な声を出した。
そうして自分が落とし穴に落ちたということを理解すると、穴の上の方から太陽の光を背に「ははは」と穏やかで明朗な声が私に投げ掛けられた。
その声にはどこかしら明快で前向きな印象があった。
不足のない、ゆとりある生活を送っている健康な男の声。
「どうだ？ 新入り、驚いたか？ 今度は趣向を変えてみたのだが─────」と鶴丸国永が言う。
この名前に私は一生頭を悩ませるのではないかと思われるほど、私と鶴丸は相性が合ってないように思えた。
鶴丸「にしても新入り、気難しい顔をしているな」
そう吠えるように笑いながら言う鶴丸に私は『あなただって、阿呆なことをする』と憮然として応酬した。
鶴丸「阿呆なことか。 そんな阿呆なことに付き合わされて、君はついてないな」
その朗らかな声で鶴丸はしゃがみながら悪戯が成功した子供らしい笑みを私に向けている。
かという私は不満そうな顔を呈していたに違いない。
鶴丸は自慢げな顔を満遍なくその綺麗な顔に広げているのだから。
それに現世では恋ノ邪魔者としての汚名を馳せた自分が何も思わないはずもなく、反撃の旗をあげようか『なむなむ』と物思いにふけていると、細い腕が私の顔の前に差し出された。
「上がらないのか？」と言いたげな腕を見て、鶴丸の顔を見る。
きめ細かい肌に白い肌は人としての温かみが感じられないような気がした。
私は無言でその腕を掴むと、軽々と私の体を落とし穴から縁の方へと引っ張りあげ、何事もなかったような顔を私に向けるあたり、これは日常茶飯事のことなのかもしれない。
「なあ、新入り知っているか？」とにこやかな笑みを浮かべながら、鶴丸は私にそう語り掛ける。
こう言われた手前、どこかに行けるはずもなく『なにを？』と間抜けた声を出した。
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5(プロフ) - マーガレットさん» コメントありがとうございます！ 鶴丸、検討してみます！ (2022年7月18日 20時) (
レス) id: 1c6ab8c3e1 (このIDを非表示/違反報告)
マーガレット(プロフ) - とても面白かったです！続き楽しみにしてます！落ちは鶴丸がいいです！ (2022年7月9日 2時) (レス) id: d2c059af4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白眉 | 作成日時：2022年6月25日 20時
