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私は振り向く前にこの声の主を頭の中で探し回った。
神聖なる道場の前、神棚が私を見下ろし、私は声の主を探し終える前に、状況を理解した。
多分、刀剣男士が私の肩に腕を回して─────それで、それで……
私は「ぎゃあああ」と叫びたくなったが紳士らしく堪えた。
しかし『うぎぁ』と小さな悲鳴は洩れた。
「わしはおんしを待っちょったぜよ」と言ったその声に私は口の端をアワアワしながら少しだけ振り向く。
ぱっと音を立てて朝開く花の割れ咲くような笑顔を見せる陸奥守に、私は光源氏もかくやと思われた。
私は『け、稽古は』と口を開いた。
『稽古は……しませんから』
平然を取り繕うことが出来ない私は、ガチガチと口を動かして反応を示した。
すると予想外の返答だったのか、陸奥守はパッと驚いた様な顔をしては大きく無邪気な笑い声を上げて、私の顔を覗き込む。
陸奥守「構わん、構わん─────それより、わしはおんしに興味があるんじゃ」
『興味？』と私はぎこちのない表情を浮かべて、頭を傾げる。
陸奥守「おんしはまだ来たばかりやき、裏山でもいかんか？」
う、裏山？ それと興味がどうやって繋がるんだ。
しかもよく見れば、私の肩にかけている方の腕とは反対の手は腰にある銃に手をかけている。
殺す気じゃないのか？ という阿呆な結論を出した私が出した行動は、言わずもがなわかるだろう。
─────要するに私はその場から逃げ出したわけだ。
〇
『うぎぁあ』と小さな悲鳴を洩らしたながら逃げ出した私に陸奥守は度肝を抜かれたようだが、次の瞬間には笑顔で追いかけだしたことに私は恐怖すら覚えた。
大広間の方面に向かい、短刀達とすれ違い、愉快な私と陸奥守が追いかけっこをしていると勘違いしたようだが、本当のところは違う。
美味しそうな匂いに鼻が反応し、お腹が空く感じはするけども、大広間を通って縁側に出ては、畑を横切り、少し多い茂る竹林の方まで逃げて呼吸を整える。
後ろを振り返れば、陸奥守の姿は見えず、私は一段落して竹林の奥の方に分け行った。
すると卒然、目の前の時空が歪んだかと思うと、手が伸びてき、茄子のようにしゃくれあがった顎に無精髭が生えているのを認めると私は顔を顰めた。
「やあ、調子はどうかね、貴公」とやけに偉そうな声が耳につく。
いや、実際に偉いのだから、仕方がないのかもしれない。
『帰れ、帰れ』
私は手で払いながら、頬を膨らませた。
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5(プロフ) - マーガレットさん» コメントありがとうございます！ 鶴丸、検討してみます！ (2022年7月18日 20時) (
レス) id: 1c6ab8c3e1 (このIDを非表示/違反報告)
マーガレット(プロフ) - とても面白かったです！続き楽しみにしてます！落ちは鶴丸がいいです！ (2022年7月9日 2時) (レス) id: d2c059af4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白眉 | 作成日時：2022年6月25日 20時
