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『主』と審神者と近侍の執務室辺りに来て、外がよく見える縁側を見ながら私は口を開いた。
『主、私って男士としてここで過ごすのですか？』
主「それは、うん─────政府の人に言われたんだけどね、女士としてではなく男士として過ごさせろって……」
すると堰を切ったように主は数時間前に政府から伝えられたことを私にそっくりそのまま教えてくれた。
私があれほど政府にいたのに、主から聞いた話は私が露も知らない話ばかり。
例えば、なぜ私が男士として暮らさねばならないのかは、最近、審神者と男士の恋愛事情が絡んでいるようで、問題視されている部分があるらしい。
まあ確かにそれ目的で来ましたけど、なんて言えるはずもなく私はドキリとしながら話を流した。
もし私が男士として暮らさねばならないのであれば、問題がある。
まずはお風呂だ─────審神者には審神者専用のお風呂が大浴場に仕切りとして設けられているらしい。
それを使うとなると他の人には見られてはならない。
入る時も上がる時もだ。
それ以外を除けば上手く行きそうなものだが、気がかりなのは山姥切のことばかり。
もう薄々気づいていそうな気もするし、全く気づいてないような気もする。
今さっき、普通に湯汲みのやり方を教えるって言っていたし。
〇
主の話を聞き終えて、続々と大広間を出てくる男士が大浴場に向かっていくのを見ながら私はそそくさと自分の寝所へと戻る。
静かに雪見障子を開け、『はあ』と小さくため息を洩らしながら、腰を下ろした。
初日にしては上手くやれただろう。
『でも』
そう洩らして小さく喉の中で唸った。
その声が外で鳴く虫たちと共鳴し、一種の合奏を聞いた心持ちで窓の外を眺める。
その時、空気が捻れるような不安を渦巻いた。
─────こう表現すると誰もが小説家気取りだとか、まどろっこしい言い方だと私を非難する。
侮蔑を極めたような眼差しをし、鼻につく比喩だと言う。
「比喩の使い方を学ぼうね」と、これまた侮蔑と哀憐を極めたような顔をして私に言うのだ。
しかしこれはなんの比喩でもなく、目の先には寝所の中庭が広がっており、その風景に一筋の線が走ったかと思うと、それは空間の歪みのように周りを巻き込んだ。
『時空の歪み─────』
しかしそれが不快なものであるだとか、危険なものだとかはとんと感じない。
ただそこに感じるのは''無''があるということだけ。
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5(プロフ) - マーガレットさん» コメントありがとうございます！ 鶴丸、検討してみます！ (2022年7月18日 20時) (
レス) id: 1c6ab8c3e1 (このIDを非表示/違反報告)
マーガレット(プロフ) - とても面白かったです！続き楽しみにしてます！落ちは鶴丸がいいです！ (2022年7月9日 2時) (レス) id: d2c059af4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白眉 | 作成日時：2022年6月25日 20時
