１７ ページ17
もしかしたら───拒絶させるかもしれない。
薬研「お前さん、名前はなんて言うんだ」
何となくその雰囲気は私を男士としてみているようなものを感じた。
私はちらりと主の方を見ると、薬研と同じぐらいの主は気まずそうに目をそらすばかり。
ん？ 主が否定しないってことは、主も私を男士だと勘違いしているってこと？
それとも女士だと知られたらいけない感じ？
「おっ、すまねぇ。 宴会の席で挨拶をするべきだな、野暮なことをした」と言った薬研は私が中々名前を言わなかったせいだろう。
山姥切「準備に戻れ」
そう山姥切が言うと面倒くさそうに呻く者もいれば、「ちぇー」という声も聞こえる。
しかしみんな、離れていく時は私の方を興味深そうな目で見ていた。
山姥切「主、先に執務室に戻れ、まだ終わってない報告書があっただろう」
主「あ、ああ……」
主は目を逸らしてトボトボと右の廊下を曲がり、奥の方に消えていくのを見終わる前に山姥切は靴を脱いで、廊下へと上がる。
「靴を脱ぐことぐらい分かるな？」と言った山姥切は私のレベルに合わせようとしているらしい。
『ありがとう』
山姥切「ああ」
それだけ短く応酬した山姥切は私が廊下に上がるとまずは私の部屋を案内してくれるらしい。
さっきよりも少しだけ優しくなったあたり、少しは受け入れられたのだろうか？
大広間の横を通りかかると男士が忙しそうに夕食の支度をしており、お腹が空くようないい香りが私の鼻をさする。
〇
しばらく自室でじっとするようにと申し付けられた私は六畳分の部屋で寝そべり天井を見上げた。
雪見障子のガラス部分から外を覗けば寝所の中庭が見え、これまた風流な中庭をしている。
『ここが本丸か……』
ゲームやアニメのように画面を通して一部しか見られなかったものが今は目の前に体現されていた。
今まで燻ってきた生活が嘘のように浄化され、私は山姥切から渡された本丸の地図を眺め、思いを馳せる。
すると「山姥切国広だ、入るぞ」と言ってガラリと返事をする前に開けるあたり、他の男子にもしているんだろう。
手馴れている。
勝手に入るんですか？とは口が裂けても言えず、山姥切の方を見上げると金髪から垣間見える瞳が私を見下ろしていた。
山姥切「───夕餉の支度ができている」
『分かりました』と返事をしても、山姥切はまたそそくさと先に歩き出す気配はない。
それは私が一緒に来るのを待っているかのようであった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 106人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
5(プロフ) - マーガレットさん» コメントありがとうございます！ 鶴丸、検討してみます！ (2022年7月18日 20時) (
レス) id: 1c6ab8c3e1 (このIDを非表示/違反報告)
マーガレット(プロフ) - とても面白かったです！続き楽しみにしてます！落ちは鶴丸がいいです！ (2022年7月9日 2時) (レス) id: d2c059af4d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白眉 | 作成日時：2022年6月25日 20時
