【鬼滅の刃】薄桃色の【猗窩座】【狛治】

手記弐拾頁目 ページ22

狛治side





台所でAさんから今夜の花火大会に一緒に行こうとの嬉しいお誘いがあった。





師範と恋雪さんがにやにやと俺達を見ては、一旦身支度にとAさんを帰らせた。





Aさんが帰ると同時に、恋雪さんと師範が勢い良く俺の所に駆け寄ってくる。





恋「狛治さん！さあ！貴方も早くご支度を！」





慶「お前もAの隣に立つのならしっかりと身支度をしないとみっともないぞ。」





ぐいぐいと親娘に押されて部屋に押し込まれ、浴衣を押し付けられる。





恋「私達は一足先に祭へ行きます。狛治さん、Aちゃんをお願いしますね！」





嵐のように俺の所へ押し掛け、そして去っていった親娘の背中を暫く見つめていたが我に帰り、せっせと身支度を始める。





浴衣を着て、何もすることが無いので気が早いとは思うがAさんの家の門の前で待とう、と用意されていた下駄を履いて屋敷を出た。





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塀に寄りかかり、Aさんを待つ。





日が傾き始め、空が橙色に染まり始めた頃。





俺の目の前を祭に行くのか、笑顔を浮かべ走る子供やゆっくりと話しながら歩く家族の姿が通って行く。





暫くここで待ってはいるが、まだAさんは来ない。





待つことは基本嫌いだが、Aさんを待つこの時間は不思議と嫌では無かった。





瞑想しながら、Aさんを待っていると直ぐ近くの門が軋む音と、軽快な下駄の音、鈴が鳴る音がした。





音のした方へ視線を向けると、いつもより一層美しいAさんの姿があった。





黄色の布地に所々桃の花があしらわれている浴衣に身を包み、高く髪を結い上げ紅を引いているAさんの姿に思わず息を飲んだ。





『狛治さん。』





俺の姿に気付いて此方に手を振りながら寄ってくるAさんは、周りの目をひいた。





狛「とても、綺麗ですね。」





そう言って他の男にこの綺麗なAさんを見られたくなくて、腕を引いてAさんの小さな手と俺の手を繋ぐ。





『狛治さん……？』





少し顔を赤く染めて、此方を見上げるAさんに微笑みかける。





狛「今日は沢山人が居るので、逸れないように繋ぎましょう。」





Aさんと握った手を強く、けど優しく握って俺たちは祭囃子が聞こえる方へと人の流れに沿って足を進めた。

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