【鬼滅の刃】薄桃色の【猗窩座】【狛治】

手記参拾玖頁目 ページ41

『父上！』





スパン！と勢い良く襖を開けると、そこにいた父や母に相手方の方々が驚いて此方を見ていた。






｢おい、何故そんなに乱して……『私はやはり、この見合いは受け入れません！』……なんだと？｣





父の言葉を遮って、そう強く言うと目の前の父の額に青筋が浮かんだ。





座布団から立ち上がって、此方へずんずんと近寄ってくる父は物凄い剣幕で私を睨んでいる。





私も睨み返さんばかりに父を見つめ返すと、途端に頬への激しい衝撃と母の短い悲鳴が聞こえた。





じんじんと痛む頬に、口内もなんだか鉄の味がした。





｢何度言えば分かるんだ！｣





怒りでわなわなと震える父に、何度も頬を殴られる。




慌てて母が止めに入るも突き飛ばされ、相手方の止めが入るまで私は殴られ続けた。





相手方の方から取り敢えず今日は解散にしましょう、と提案が出て私はよろけながらも母に支えられながら帰宅した。





｢お帰りなさい……っ……。｣





今日は留守番をしていた兄が玄関で迎えてくれたが、父の苛立った姿を不思議そうに見たあと私の姿を見て慌てて駆け寄ってきた。





｢おいっ！大丈夫か？！｣





大丈夫、そう答えようとしたが頭がぐらついて、暗転した視界によって兄にそう伝えることは出来なかった。

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