手記参拾弐頁目 ページ34
お兄様が私を恋雪ちゃんの所へ行くのを咎めていたのは父に言われたからという事。
狛治さんに会うなと言ったのはお兄様も私を迎えに来る狛治さんの腕を見て父に知られれば私が辛い思いをするからその前に引き離そうと考えていた事、を話した。
そして昨日から散々聞いた言葉を口から紡ぎ出そうとしたお兄様の口を静かに遮る。
『もう……もう良いんです。私はきっと父上からは逃げられませんから。』
そう私がお兄様に言うと何かを言おうと口を開けたものの、此方を悲しそうに見つめて口を閉じた。
お兄様に見つめられながら冷めた朝餉を食べて、一日をまたこの窓もない暗い部屋で過ごした。
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昔から隣の素流道場に毎日通いつめて、同じ年の女子の看病をしている妹。
父上は俺が物心ついた時にはもう既に隣の道場を毛嫌いしていた。
「隣の道場の奴と関わるな。」
そう言いつけられていたのは俺も、妹もだった。
だが、妹はその言いつけを毎日破りはじめた。
最初は父も怒鳴ってはいたが、門下生に調べさせた所病弱な同じ年の女子の世話をしていると聞いて父は母に言われ目を瞑っていた。
だがしかし、あの青年が隣の道場へ居候してると父の耳に入った時はまだ良かった。
?「ごめんください。」
家の屋敷の門の前に立つ黒髪の青年は例の青年だった。
「何か御用でしょうか。」
そう聞く前に、着物の袖を揺らした妹が俺の隣に並んだ。
『狛治さん、遅れてしまってごめんなさい。』
妹に狛治さん、と呼ばれた青年は妹の姿をその瞳に写すと優しげにその目を細めた。
妹も青年を見て頬をほんのり朱に染めている。
『お兄様、では行ってきます。……お兄様?』
呆然としていると、妹にそう声をかけられる。
「あ、あぁ……行ってらっしゃい。」
二人の背中を見送る。その時に青年の腕に入れ墨があるのを見て俺は顔を青ざめさせた。
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主人公(プロフ) - まゆまゆさん» 本作品を見つけて頂きありがとうございます!私も映画見る前はそうでした笑是非ともこれからもご愛読頂けると嬉しいです(^^) (2021年3月26日 15時) (レス) id: b1a69e75f8 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - やぁ〜、猗窩座とのお話しを探して三千里(はっ?)なかなか書いてらっしゃる方居なくて、見付けたら嬉しくて善逸みたいに汚ない高音でイィヤァァァア〜状態w自分無限列車何も知らずに観に行って猗窩座の第一声で石田彰さんて解って涎垂らしそうな程で、幸せ (2021年3月26日 14時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
主人公(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます。やっとこさ1を書き終えました。続編も近日公開致しますので是非ともこれからも応援お願い致します! (2021年3月18日 18時) (レス) id: 1c0023d245 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 初めまして!この作品大好きで、ずーっと更新をお待ちしてたので嬉しいです!!!はくじさんと早く会えますように( ; ; )最後どうなるのか気になります!! (2021年2月21日 7時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
星 - 小説とても面白くて大好きです!更新頑張って下さい! (2021年1月9日 5時) (レス) id: 43b4052d04 (このIDを非表示/違反報告)
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