サプライズ ページ29
yourside
我愛羅の期待の眼差しから逃げてきてしまった。
本当は勇気を出して言いたかったが、中々言うことも出来ず、しかし言わないと代わりのプレゼントと言えるような物がないのでプレゼントを用意していない……という事になってしまう。
ベッドに寝転がり、ふわふわの布団に包まり気持ちを沈ませる。
例え自分の気持ちの整理がついていなくても今日誕生日の我愛羅には悪いことしたな…どう顔を見せれば良いんだろう…そう思ってたときノックが響いた。
我「夢主、入るぞ。」
我愛羅の声が聞こえて更に深く布団に包まった。耳を澄ませていると、キィとベッドが軋む音がして我愛羅の重さに少し傾いた。
手探りで布団を頭の部分だけ剥がれてしまう。我愛羅は私の頭を撫でると少し弱々しい声で
我「すまない……オレが我儘を言ったせいで……。今日はありがとう、夢主はゆっくり休んでくれ。」
そう短い言葉を伝えると髪を一房掬い、それにキスを落としてここから去ろうとしていた。
これで、良いの?
何も我愛羅にあげなくていいの?
いいや、駄目。
心の中で葛藤を振り払い、決意する。
包まっていた布団から出て、立ち上がろうとしていた我愛羅の腕の裾を掴む。我愛羅はびっくりしていながらもやはり先程までとは違い少ししょげていた。
我「夢主……。」
『我愛羅……ごめんなさい。貴方にそんな顔をして欲しかった訳じゃないの。私が…弱いから…。』
愛しき人の頬を優しく撫でて、許しを乞うように語りかけた。
我「あぁ…驚きはしたがオレは大丈夫だ。何かあるのか……?」
我愛羅は頬を撫でられていた手を優しく取り、指を絡ませた。恋人繋ぎをして、お互いに強く握りしめる。
『えっと……あの、こっち向いてもらっていい……?』
我「?嗚呼。」
二人して、ベッドの上で向き合う。私に至っては正座をしている。
『プレゼントなんだけど……』
やはり、言葉にするのは気恥ずかしくて黙ってしまう。
我愛羅は私の次の言葉を待っていてくれるようで何も言わずそこに居てくれた。
言葉にするのが難しいのならば行動に移してしまえ!
半分ヤケクソで我愛羅の腕の裾を引っ張り、我愛羅の姿勢が前に崩れた所ですかさず薄い唇に自分の唇を合わせた。
直ぐに離すと、我愛羅は目を見開いて驚いていた。
我「夢主…?」
『我愛羅には、私を貰って欲しいの……』
か細く言ったつもりだったが、我愛羅の耳には届いた様で気づいたら押し倒されていた。
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