館 ページ2
「あ……」
先生はそう言うと私に背を向け、車に乗って去っていった。私にはそれが酷く悲しいものだと感じた。
今ここにいるのは私一人だけ。そう思うと孤独を感じる。知らない土地に一人。それも、広い。
私はしばらくそこにポツンと立っていた。
先生からもらったネックレスを握る。そして、自分に大丈夫だと言い聞かせゆっくりと館へと歩く。
荷物は旅行に行くときみたいな小さな車輪付きのキャリーバッグに入っている。それをカラカラと、手で持ちながら運ぶ。
大きな、門だ…。5メートルぐらいの、柵みたいな扉になっているのを開く。鍵は開いていてギィィィイイ、と音がした。
その時にカラスが館から数羽飛ぶ。
うわ、びっくりした….
というか、カラスなんて益々不気味だ。門を開くと、玄関はまだ先だった。
長い…。私は玄関までのレンガで作ってある一本道を歩く。
入るまでは分からなかったけど中には手が行き届いた草が生い茂っていて、木もいくつか植えてあった。きれいな花も沢山咲いている。パンジーや薔薇やコスモス、チューリップがあちこちに咲いていた。
右のほうには噴水があって今も動いている。ここからでもわかる、綺麗な水だ。左にも同じような噴水がある。
…何というか、ここだけ世界が違うようだ。外見はあんなに不気味なのに…。もしかして、意外と中もこんな感じだったり。
だとしたら私を買った人は良い人、なのかな？だって悪い人で植物を育てている人ってあんまりいないよね？
そう思うと気持ちが幾分か楽だった。
玄関らしい所へと着いた。……しかし、困った。インターホンを押すボタンがどこにもない。代わりに丸いリングが２つある。
この扉も、大きい。さっきの門まではいかないけど木製の扉でかなり古そうだ。
このリングを掴んで叩けばいいのかな？
コンコン
「すみません、遅くなりました。先日買っていただいた小鳥遊Aです。…誰かいませんか？」
こんな感じで大丈夫だっただろうか。人の家に来るのは初めてだから良く分からない。
……あれ、誰も来ない。聞こえてないのかな？…それもそうか。こんなに広いんだから聞こえてないかもしれない。
「すみませーん！」
私はさっきよりも大きな声で言う。
私が今日来ることは知っているのだろうか。誰かしらいると思ったんだけど…。
「…すみませーん！」
いつまで経っても誰も来ない。寝ているのかな…。いや、でも今昼過ぎだよ？まさかね…
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ハムハム - 初読みです！感動しましさこれからも更新頑張ってください！ (2020年2月4日 22時) (
レス) id: c324355dea (このIDを非表示/違反報告)
氷翠 - 初めて読んだけどすごく面白かったです！更新待ってます！！ (2019年9月18日 23時) (レス) id: 3797fcfa5c (このIDを非表示/違反報告)
ぴよこ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！！！ (2019年7月28日 20時) (レス) id: d25bce6588 (このIDを非表示/違反報告)
漓娜(プロフ) - ここは逆に上鳴に勝ってほしい (2019年6月13日 23時) (レス) id: 47b69fc756 (このIDを非表示/違反報告)
轟轟 - 続き楽しみ 早く更新してね。ドキドキする 私も 夢主になりたいー (2019年5月9日 21時) (レス) id: e8d8b5ba4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あみ | 作成日時：2019年2月17日 14時
