【８月 青】 ページ35
side 赤
宮舘「あれ、翔太、食欲ない？」
みんなでテーブルを囲んで晩ごはん中。
翔太の前の料理が、ほとんど手つかずで、
お茶だけ飲んで、お代わりを注いでいる。
渡辺「うーん、なんか食べる気しなくて」
毎年のように、翔太は夏バテして、
すぐに食欲がなくなってしまう。
食事は食べずに、アイスばかり食べて、
栄養が摂れなくて、っていう悪循環。
宮舘「何なら食べられそう？」
渡辺「アイス」
ほらね、これだから。
宮舘「アイスじゃなくて、ごはん食べなって。
雑炊とか、スープとか、作ろうか？」
渡辺「いいよ、面倒じゃん」
宮舘「そんなことないよ、ちょっと待ってて」
ささっと、卵が入った雑炊を作って、
スプーンと一緒に、翔太の前に置いてやる。
宮舘「はい、食べられるだけでいいから」
お椀に半分くらいしか入っていないのを見て、
しぶしぶといった表情でスプーンを持った。
翔太の前のおかずは、他のみんなに配って、
俺も、もう一度、席に着く。
翔太は、ちびちびと雑炊を食べていたけど、
みんなが食べ終わっても、まだ残っている。
宮舘「残してもいいし、無理しないでね」
渡辺「うん、でも……」
スプーンで雑炊をつつきながら、俯いて。
渡辺「涼太が作ってくれたのに、残したくないし」
そう言って、またパクリと一口食べた。
宮舘「そういえば、翔太、お腹の調子はどう？」
渡辺「飯、食ってるときに、そんなこと聞くなよ」
去年はアイスばかり食べていたから、
お腹壊すことが多かったなと思って。
思い出したから聞いてみると、すごく嫌な顔をされた。
渡辺「別に、大丈夫だけど」
宮館「そう？それなら良かった」
結局、時間はかかったけど、
お椀に入れた分は全部食べられたし。
渡辺「これなら、食べられるかも」
なんて、嬉しいことも言ってくれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 425人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アクモ | 作成日時：2023年2月1日 20時
