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岩本「亮平、この間のテストもらってきたよ」
病院の先生から、体調が戻るまでは、
学校に行くことを止められてしまった阿部ちゃん。
代わりに照が、テストの結果をもらって帰ってきた。
阿部「ひーくん、ありがとう！」
お礼もそこそこに、返ってきたテストと、
平均点や順位をまとめたプリントに夢中になって。
一緒に照が持って帰ってきた、小さめな荷物には無関心。
渡辺「なあ、あれ、何なの？」
晩ごはんを食べ終わっても、置き去りにされたまま、
見向きもされない荷物が、俺はなんだか気になって。
テストで盛り上がるみんなに声をかけた。
阿部「ん？ひーくん、あれ、 なあに？」
すっかり忘れていたらしい阿部ちゃんは、
ハテナを浮かべた顔で、照を見て。
岩本「自分で開けて見たら？」
中身を知っている照はニヤニヤしている。
留めてあるテープをはさみで切って、
箱のふたを開けた、その中には。
阿部「……制服？」
阿部ちゃんの夏服が入っていた。
岩本「そう、６月になったら夏服だからさ。
ちょっと、もらってくるの遅くなったけど」
壁のカレンダーは、すでに６月になって数日経つ。
渡辺「いいじゃん、新しい制服」
阿部「うん、明日から着ようかな」
まだそんなに暑い季節じゃないし、
梅雨に入ってしまって、肌寒い日もあるけど。
俺も、新しい服買ったら、すぐ着たくなるし、
阿部ちゃんの気持ちは分かるよ。
次の日、さっそく夏服を着た阿部ちゃん。
着なれなくて、最初は恥ずかしそう。
阿部「あの、でもね、ちょっと寒いかも」
みんなが褒めている中、言い出し辛そうにしていて。
よく見ると、細い腕には鳥肌が立ってしまっている。
まあ、今日は別に暑くもないし、
他のみんなはまだ長袖を着ている気温。
寒がりな阿部ちゃんに、半袖は早かったみたいだ。
結局、まだ冬服でいいよねってなって、
夏服は、クローゼットに仕舞われていった。
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作者名：アクモ | 作成日時：2023年2月1日 20時
