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そのまま、先生の案内で行ったのは、
４人分の机と椅子がある、小さな教室。
ここが、亮平がテストを受ける教室らしい。
壁や床が木目調になっていて、
いわゆる"教室"という雰囲気を感じさせない。
中学校とは違う雰囲気の教室に、
亮平も、俺の後ろから顔を出して、
キョロキョロと見まわしていた。
先生に促されて、俺の手を握ったままだったけど、
席に座って、先生の話を聞いている。
その間に先生が説明してくれたのは、
同じ教室で、テストを受ける子がいるってこと。
まあ、４人分の机が準備されているし、
そうなんじゃないかと、俺は思っていたけど。
亮平は、涙を浮かべるほど、不安そう。
でも、みんな、亮平みたいに事情がある子で、
テストの日に来られるか分からないらしくて。
それを言われると、亮平も来られるか分からないし、
少し、複雑な気持ちになった。
それから、俺も想定外だったんだけど、
テスト中、俺は教室に入れないってこと。
今でも、俺の手を握ったままなのに、
１人で座って、テストが受けられるんだろうか。
俺の不安が伝わってしまったのか、
車に戻ると、亮平は静かに泣き始めてしまって。
佐久間「阿部ちゃん、どうしたの？
学校、怖かった？」
佐久間に聞かれて、小さく首を振るのが、
バックミラーに映る。
阿部「俺、テスト無理かも」
泣いている亮平を、佐久間が抱き寄せる。
佐久間「うん、テスト、行けなくても大丈夫だよ。
俺も、何回か行けなかったことあるし」
阿部「そうなの？」
あれ、その話、亮平は聞いたことなかったのか。
佐久間「１日しか行けなかったことも、
全部、受けられなかったこともあるけど、
何とか卒業できてるから、大丈夫」
阿部「うん、さっくん、ありがとう」
こう言っちゃなんだけど、不登校の先輩がいるって、
俺にとっても、亮平にとっても心強くて。
そう言ってもらえるだけで、
大丈夫そうな気がしてくるから不思議だ。
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作者名：アクモ | 作成日時：2023年2月1日 20時
