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翌朝、俺も緊張しているのか、
いつもより早く目が覚めてしまって。
隣のベッドを見ると、亮平も起きていた。
岩本「おはよう、寝られた？」
阿部「んー、あんまり寝られなかった。
何回も目が覚めちゃって」
布団から出ようとしない亮平の目は、少し赤い。
もしかしたら、夜中も、少し泣いていたのかもしれない。
緊張した面持ちで、リビングに下りる足取りも重くて。
阿部「おはよう」
みんなからの挨拶に返す声も、いつもより小さい。
朝ごはんの準備が整いつつあるテーブルを見て。
阿部「今日、朝ごはん、いらない」
また泣きそうな顔で、そう訴える。
岩本「どこか、具合悪い？」
阿部「ううん、まだ大丈夫だけど。
でも、多分、気持ち悪くなるし」
俺の服を引っ張る手を握ると、ひんやりと冷たい。
緊張すると、すぐに手足が冷たくなるんだよな。
体温を分けるように手を握って、顔をのぞき込むと、
じんわりと涙がにじんでいる。
岩本「どうした？」
阿部「今日、無理かも」
とうとう零れた涙を拭って、頭をなでる。
岩本「無理だなって思ったら、帰って来れるし、
頑張れるだけ、頑張ってみない？」
これで無理って言われたら、もう仕方ないと思って。
阿部「……頑張れるかな」
でも、亮平も頑張りたいと思ってくれているはず。
岩本「１個ずつ、頑張ろ。できるところまででいいから」
小さく頷いた亮平の背中を押して、テーブルへ。
何が食べられそうか考えていると、横から出てきたもの。
宮舘「照、これ」
舘さんが差し出してくれたマグカップには、
温かいスープが入っていた。
岩本「ありがとう。
亮平、舘さんが作ってくれたよ」
阿部「舘さん、ありがと」
冷たい手で、温かいマグカップを包むように持って。
ゆっくりだったけど、飲み切るころには、
少し表情が明るくなったようだった。
阿部「ごちそうさま」
岩本「朝ごはん、頑張れたじゃん」
頭をなでると、こっちを見上げて小さく頷いた。
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作者名：アクモ | 作成日時：2023年2月1日 20時
