32−３ ページ13
どのくらい時間が経った頃だろうか。
俺の腕の中にいた佐久間が、ギュッと縮こまった。
阿部「佐久間、どうした？」
佐久間「……寒い」
そう言われれば、さすっている背中も震えていて、
手足も冷たくなってしまっている。
でも、今日は汗ばむくらいの気温で。
ということは、熱が出る前兆なのかもしれない。
手近にあったタオルケットを手繰り寄せて、
佐久間の背中に掛けるけど。
もう少し厚手の、ブランケットみたいな方がいいよね。
阿部「ちょっと、何か、掛けるもの探してくるね」
そう伝えても、佐久間はしがみついて離れてくれない。
いろいろ考えた結果、仕事中に申し訳ないけど、
事務所にヘルプの電話をかけた。
目黒「阿部ちゃん、これでいいですか？」
阿部「うん、ありがとう。
仕事中に、ごめんね」
仕舞ってあったブランケットを、めめが持ってきてくれて、
俺の膝に乗った状態の佐久間に掛けてくれる。
目黒「他に、何かいるものあります？」
この様子だと、まだまだ佐久間から離れられそうもないし、
体温計とかタオルとか、手の届くところに準備してもらった。
目黒「みんな、『遠慮せずに連絡して』って言ってました。
誰かは戻って来れると思うんで」
阿部「うん、ありがとう」
そう言ってくれて、めめは仕事に戻っていった。
寒い寒いと震える身体が、だんだんと熱を帯びてきて。
あっという間に、高熱と呼べるくらいの体温になった。
お昼に戻ってきた照に、部屋まで運んでもらって、
少し強引に水分を摂らせて、薬を飲ませる。
俺の服をつかんだまま横になると、
薬のおかげもあって、やっと眠ってくれた。
少し休んで、気持ちも身体も楽になったらなって。
泣きすぎて、目も鼻も赤いままの佐久間を見て思う。
仕事中のはずのみんなも、休憩と称して、
代わる代わる様子を見に来てくれた。
その後も、俺がご飯とかお風呂とかで離れると、
ポロポロと泣き続けるから、夜も一緒にベッドに入る。
朝になると、あれだけ高かった熱が、
スッと平熱に戻っていて、だいぶ元気を取り戻していた。
佐久間「阿部ちゃん、昨日ずっと一緒にいてくれたよね」
阿部「うん、佐久間のことが心配だったからね」
またギュッと抱きついてくる佐久間の頭をなでる。
心配してくれていたみんなにも、
元気になった顔、見せに行かないとね。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 594人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アクモ(プロフ) - くろさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます。とても嬉しいです。今後は未定ですが、また機会がありましたら、よろしくお願いいたします。 (2022年12月14日 22時) (
レス) id: 2c15e54c18 (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - このお話大好きだったので終わってしまうのめちゃめちゃ寂しいです。また機会があればこっそり戻ってきていただけると泣いて喜びます！ (2022年12月12日 9時) (レス) @page50 id: 436e54c814 (このIDを非表示/違反報告)
アクモ(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。これからも、よろしくお願いいたします。 (2022年11月22日 0時) (レス) id: 2c15e54c18 (このIDを非表示/違反報告)
あ - 毎話読ませて頂いてます。更新楽しみにしています。 (2022年11月21日 0時) (レス) @page33 id: a9a7eea51c (このIDを非表示/違反報告)
アクモ(プロフ) - くろさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて、嬉しいです！(作者) (2022年11月1日 21時) (レス) id: 2c15e54c18 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アクモ | 作成日時：2022年10月25日 0時
