11 【桃 - 紫】 ページ20
side 桃
佐久間「……っ、はぁ、はぁ」
怖い夢を見てしまって、目が覚めた。
夢の中は真っ暗で、よく覚えていないけど、
何かに追いかけられていたような気がする。
まだ心臓がバクバクいってて、息も苦しい。
今も暗い部屋の中だから、夢の続きみたいで、
背中がゾクッとして、慌てて振り返る。
後ろから視線を感じる気がして、落ち着かない。
窓やドアだけじゃなくて、壁や天井だって、
突き破ってくるかもしれない、なんて考えてしまう。
1人では怖くて我慢できなくて、廊下に出る。
阿部ちゃん、翔太、涼太、康二、目黒、ラウール、
誰か起きていないかと思い浮かべるけど、
もう寝てしまっていそうな人ばかり。
照とふっか、まだ起きてるかな。
何か襲ってきたときに、やっつけてくれそう、
なんて理由で、先に照の部屋をのぞくけど、
あいにく、もう寝てしまっていた。
最後はふっかだけど、もう寝ていたらどうしよう。
祈るような気持ちで開けたドアの先は、まだ明るくて、
ゲームをしていたふっかが、勢いよく振り返る。
深澤「うわっ、佐久間か、ビックリしたー。
こんな時間にどうした?」
少し驚かせてしまったみたいだけど、
すぐにゲームを止めて、こっちを向いてくれた。
佐久間「ふっか、あの、なんかくる、こわい」
ふっかの部屋に入っても、窓や天井が気になって仕方ない。
深澤「何か来る?え、怖い怖い」
ふっかも部屋をキョロキョロ見回す。
深澤「え、なんだろ、部屋に虫でも出た?」
近づいてきてくれたふっかに、勢いよく抱きつく。
佐久間「違くて、夢で、何か、追いかけてきて」
深澤「夢?そっか、怖い夢見ちゃったか」
ふっかもギュッと抱きしめてくれて、
背中や頭をなでてくれる。
深澤「大丈夫、何も来ないよ。
もし、何か来たら、照のところに逃げよう」
照なら、なんでもやっつけてくれるよ、って笑ってて、
やっぱり考えることは一緒だな、と嬉しくなった。
佐久間「ん、ふっか、一緒に寝よ?」
少し落ち着いたけど、まだ1人で寝るのは怖い。
深澤「いいよ、でも、もう少しだけゲームさせて?
これ終わったら、一緒に寝よ」
ゲームが終わるのを待って、一緒にベッドに入る。
深澤「また怖い夢見たら、遠慮なく起こしてね」
そう言ってくれたけど、ふっかと一緒なら、
怖い夢を見ずに眠れそうな気がした。
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作者名:アクモ | 作成日時:2022年8月4日 0時