Snow Short Story

１−１【桃 - 緑】 ページ1

side 桃


佐久間さん、ショートスリーパーだけどさ、

たまに眠れないことが辛い日もあるんだよね。




今日はそんな感じで、寝たいのに寝られなくて、

苦しくなって、涙がボロボロ出てきて止まらない。



誰かと一緒にいたくて、部屋を出て、

足は自然と阿部ちゃんの部屋に向いていた。



音を立てないように、少しだけドアを開けて、

自分が通れるだけの隙間から、するりと中に入る。



同じように、そっとドアを閉めて、

阿部ちゃんのベッドの足元に座り込む。



１人じゃないって安心したくて。



直接触ったら起こしちゃうかもしれないから、

掛け布団の端っこをギュッと握った。



反対の手で、零れてくる涙を拭うけど、

何度拭ってみても止まらない。



どのくらい時間が経ったのか分からないけど、

いつの間にか、泣きながら眠っていたみたい。

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