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肆拾玖──くろうえあ ページ4

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 門にもたれ、ぺちゃくちゃと今後について話す日が二日続き、木漏れ日がきらめく昼下がり、ついに。
「あのー、錆兎様、A様、いらっしゃいますか」
「はい!」「ここに!」
 ごくりと息をのむ。錆兎が、鱗滝さん、意地悪しないで、小さくつぶいたので、Aはおかしくて笑い声をもらしてしまう。
「確認が取れました。前回の最終選別をお二人だけ合格されていませんでしたね」
とたんにあたりは静まった。お二方? と声がする。やや間があって、錆兎が口を開けた。
「……は」
「……や」
「「やったああああ!!!」」
 決して開くことのなかった木の門が、ぎい、と音を立てて開かれる。広い空が二人をむかえた。
「合格おめでとうございます。産屋敷輝利哉様とかなた様に代わり、私からご説明いたします」
 二人の前にひざをついたのは、口元を隠した帽子をかぶる男女──隠だ。
「通常であれば、ここで任務の伝達を担う鎹鴉を支給されたり、隊服の採寸を行ったりいたします。しかしお二人は特別な状況にあられるため、産屋敷家を訪問するよう現当主・産屋敷耀哉様からご指示いただきました」
「はあ……」
錆兎はつらつらと述べられる予定をなんとか頭に詰めこもうとしている。Aもよくわかっていないらしい、ぽかんとしていた。
 我々がお連れします、と言われたので、渡された目隠しをつけ、おぶられる。どうやら産屋敷家の位置はトップシークレットらしかった。隠たちにも道がわからないよう、途中途中で交代される。
「ありがとうございました。よろしくお願いいたします」
やはりくせは抜けない。隠が変わるたび、Aはていねいに腰を折る。つられて錆兎もぎこちなく礼をした。


クロウエア──願いを叶えて、光輝

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設定タグ:鬼滅の刃 , 錆兎 , 長編   
作品ジャンル:恋愛
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Rabbita(プロフ) - kokonaさん» とてもうれしいです、ありがとうございます。一ヶ月に一度の更新をつづけていけるように尽力いたします。今後ともよろしくお願いいたします。 (2023年4月13日 2時) (レス) id: 107e758410 (このIDを非表示/違反報告)
kokona(プロフ) - 投稿楽しみにしていました! (2023年4月8日 12時) (レス) @page39 id: d3088186d6 (このIDを非表示/違反報告)
Rabbita(プロフ) - かおりさん» ありがとうございます。 (2022年12月19日 19時) (レス) @page36 id: 107e758410 (このIDを非表示/違反報告)
かおり - よかったです!これからも更新楽しみにしてます! (2022年10月22日 18時) (レス) @page35 id: bc17a1db16 (このIDを非表示/違反報告)
Rabbita(プロフ) - かおりさん» ご心配ありがとうございます、ただいま更新させていただきました。「待ってます」とのお言葉に本当に救われました。不定期ではありますが、どうぞよろしくお願いいたします。 (2022年10月16日 15時) (レス) id: 107e758410 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Rabbita | 作成日時:2022年1月1日 19時

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