鬼殺隊最強の二人組・水狐 弐ノ巻《錆兎》

漆拾弐──すのーどろっぷ ページ27

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　錆兎が倒れた原因は、この期間にまったく触れてこなかった刀を振ったことだった。怠惰な生活を送っていたため、体、とくに筋肉が衰えてしまったのだ。まる一日眠って起きると、空には新しい朝があった。
「おはよう」
　どれだけ幸せなことか、真菰が眉を下げて笑う。彼女はもちろん錆兎の心配をしていたが、原因の予想がついたので落ちついていられたのだ。そしてこの一日で、真菰はある計画をたてていた。
「説明しよう！ これは、『琥珀をとりもどすぞ計画』なのですっ」
「……そのまんまの計画名だな」
　ネーミングセンスについては錆兎も大概であるが、彼はまだそのことを自覚していなかったようだ。それはさておき、真菰からこの計画の概要がよどみなく伝えられる。
「一に、体力と筋力をとりもどす。二に、全集中の呼吸と基本的な剣術をとりもどす。三に、水の呼吸をとりもどす。四に……いや、それはそのときに言ったほうがいいかな」
　四になにをとりもどすのかが気になるところだが、錆兎はうなずいた。
「なるほど。まあ鱗滝さんの剣士の育成と同じような手順だな」
「しょうがないもん」
　すこし不服そうな真菰。オリジナリティあふれる計画をたてられたらよかったのだが、けっきょくはふたたびこの段階をふむしかないのだ。
　そういえば、と真菰が指をたてる。
「いま、ちょうどひとり男の子が鱗滝さんのところで修行をしてるんだ。始めたのは去年の春だったかな。赤い髪の子で、毎日大きな岩に刀を向けてるんだけど。すごく素直そうで力強い目をしてたよ」
「そうか」
「たぶんあの子はあと一年もしないうちに、それこそ半年くらいで力をつけると思う。まじめだからね。だから、錆兎もそれまでにまた強くなってね？」
　真菰が目標設定をした。来年の春、あのころと同じ速さで動けるように。あのころと同じ強さで首を斬れるように。あのころと同じ相棒と──
「でも」錆兎は自分の、持ちあげるとぴくぴく痙攣する手を見る。「とりもどせるかな、あのころの力」
　不安そうな錆兎に、真菰はにかっと笑ってその手をとった。
「大丈夫、私が見てあげるもの！」


スノードロップ──なぐさめ、希望


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　更新を怠り申し訳ございません。ただいまリアルがいそがしく、執筆にまで手がまわらない状況です。
　今後もこのような失念があることと思いますが、寛大なお心でお待ちいただけるとうれしいです。いつもご愛読いただきありがとうございます。

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