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陸拾伍──きんぎょそう ページ20

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 一段と低い声が深刻そうに空気を震わせたので、三人は目を向けた。
「二人は確かにその事実をお館様に伝えたな?」
「「はい」」
「ふむ……だが生存者はあのころと変わらない。きっとまだ、二人を襲った鬼が山に棲んでいるはずだ。お館様はこれを知っているのに対処されない、ということは、なにかお考えがあるのかもしれないな」
 意味ありげな口ぶりに錆兎と真菰は首をかしげたが、Aはみずからの冷や汗を感じた。
「お館様は、あの鬼を倒す力のある剣士のみを集めようとしている……?」
 ごくり、息を飲む音が聞こえた。優しそうだったのに、錆兎の息がもれる。
「お前たちのような決定打が生まれた今、ついに最終目標に手を出そうとしているのかもしれん──つまり、鬼舞辻無惨を倒し、鬼を根絶する、ということだ」
 しばしの沈黙。それをはらったのは明るい笑い声だった。小さく青い花に彩られた面の少女に視線が集まる。
「大丈夫だよ、だって私、鱗滝さんの弟子だもん!」
いただきまーす、Aが持ってきたまんじゅうに手を伸ばして、真菰は頬を落とした。
「ははっ、そうだな、鱗滝さんの弟子なんだ、間違いない」
錆兎もうなずいてまんじゅうを取る。
「……二人がそういうなら平気だね。真菰ちゃんの逃げ足ならきっと」
Aも口角を上げた。このまんじゅうは、Aが気落ちしたときによく八作が買ってきてくれたものだ。なつかしい味に、家がほんのすこし、恋しくなった。
 火であたたまる子どもたち。さきほどまでの重い話などはあまいおかしにとかされてしまった。ただひとり、白髪の男だけが、不安に視線をずらした。


キンギョソウ──仮定、推測、清純な心、大胆不敵、上品さ、優美さ、ごまかし

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設定タグ:鬼滅の刃 , 錆兎 , 長編   
作品ジャンル:恋愛
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Rabbita(プロフ) - kokonaさん» とてもうれしいです、ありがとうございます。一ヶ月に一度の更新をつづけていけるように尽力いたします。今後ともよろしくお願いいたします。 (2023年4月13日 2時) (レス) id: 107e758410 (このIDを非表示/違反報告)
kokona(プロフ) - 投稿楽しみにしていました! (2023年4月8日 12時) (レス) @page39 id: d3088186d6 (このIDを非表示/違反報告)
Rabbita(プロフ) - かおりさん» ありがとうございます。 (2022年12月19日 19時) (レス) @page36 id: 107e758410 (このIDを非表示/違反報告)
かおり - よかったです!これからも更新楽しみにしてます! (2022年10月22日 18時) (レス) @page35 id: bc17a1db16 (このIDを非表示/違反報告)
Rabbita(プロフ) - かおりさん» ご心配ありがとうございます、ただいま更新させていただきました。「待ってます」とのお言葉に本当に救われました。不定期ではありますが、どうぞよろしくお願いいたします。 (2022年10月16日 15時) (レス) id: 107e758410 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Rabbita | 作成日時:2022年1月1日 19時

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