遠くのバラより近くのタンポポ (ページ40)

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参拾玖ページ40

「何てことするんだ！人でなし！！
アオイさんたちの代わりに俺たちが行く！」

やっと着いた！

一足先に蝶屋敷に到着していた師範は、アオイさんを抱えて炭治郎と言い争いをしていた。

師範…絶対無理やり連れて行こうとしてる…！

「師範！」

「行ってやってもいいぜ。」

「俺は一歩もひひひ引かないぜ。」

いつの間にか師範を取り囲むように、善逸と伊之助が立っていた。

「あっそォ。じゃあ一緒に来て頂こうかね。
ただし、絶対俺に逆らうなよ。お前ら。」

妙にあっさり引き下がった師範…。

気まぐれな師範のことだから何を企んでいるのか知らないが、アオイさんたちは師範の作戦の餌食にならなくて済んだようだ。よかったぁ…。
ごめんね。アオイさんたち。

あの派手柱…！！

まぁ、必死なのはわかるけどさぁ…。

「Aちゃん！久しぶりだねぇ！」

「うん、久しぶり！」

「少し見ない間に、ずいぶん髪が伸びたなぁ！」

「やっと結えるようになったよ。邪魔だったからよかった！」

「おい！子分その4！お前も一緒の任務か？」

「うん、そうだよ！師範が無理やりごめんね…。」

「やったぁーーー！！！Aちゃんと一緒！！！」

久しぶりで話したいこともたくさんあったが、伊之助は任務にしか興味がないようで、どこ行くんだ？なんて、師範に尋ねていた。
師範はニヤリと笑って、

「鬼の棲む“遊郭”だよ。」

と答えた。

「あぁん？何だそりゃ？」

「うーん？」

と考え込む2人…。そうか！2人は山育ちだから知らないのか！！

「………」

都会っ子の善逸はただ一人、顔を真っ赤に染め、

「いやホラ、アレだよ、分かんない？」

とあたふたしていた。

「あっ！Aちゃんは知ってるよね…！？」

「うーん、分かんないなぁ笑」

「えっ、あっ、ホント！？」

照れる善逸があんまり可愛いかったから、からかってみた。