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参拾壱 ページ32

たんぽぽ頭…。

その頭には、真っ白い包帯が巻かれており、寂しそうに、萎れて見えた。

「…善逸…。」

ベッドの上ですやすや眠る善逸の隣まで行って、頬に手を添える。

“あたたかい”

よかった、よかった…!

「おかえり。善逸。」

ぽたぽたと落ちる涙を、ゴシゴシと拭いた。

炭治郎と伊之助も無事なようだ。

3人を起こすわけにはいかないので、書き置きを残し、屋敷に戻ることにした。









優しい音。俺の大好きな音。大好きな…あの子の音。




ん…?えっ、ちょっ!Aちゃんの手が!俺の頬に!!
なんて柔らかい手…じゃない!!
豆ができてるし、皮も分厚い…。

Aちゃん、鍛錬頑張ってたんだなぁ…。

っていうか!!起きるタイミング見失ったんだけど!!!

Aちゃんは俺に、おかえりと呟くと、机で文を書き始めた。

負傷した俺たちを気遣って、起こさないでいてくれたんだろう。
やっぱり、優しいよなぁ。気遣いできるし、料理もできるし、なんと言っても可愛いし!良いお嫁さんになるんだろうなぁ…

俺の。

えへへ!なんてな!なんてな!!

そんことを考えていたら、いつの間にかAちゃんは文を書き終えたようで、部屋を出て行ってしまった。

なんだ、もう行っちゃったのかぁ…。

なんだか寂しくなってきたので、気を紛らわせようと、Aちゃんが書いた文を読むことにした。



2通置いてあった。
3人宛と…俺宛…。

3人宛の方には、無事でよかった、またお見舞いに来る、という内容のことが書かれていた。




…そして、俺宛…善逸へ…。




なになになに!?!?もしかして、ラ、ラブレター!?!?Aちゃんも可愛いことするなぁ!!

炭治郎と伊之助が寝ていることを確認して、ゆっくりと文を開く。







善逸へ

守ってあげられなくて、ごめんなさい。
でも、無事で本当によかった。
今はただそれだけです。生きててくれて、ありがとう。
近いうちに美味しい物を持って、お見舞いに行きます。
その時は“狸寝入り”はしないでね。

  A







えっ、ばれてたの…。ちょっと待って。めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど…!!知ってたの!?えっ!Aちゃん知ってた!?なら言ってよ!!恥ずかしすぎでしょ!?




早く来ないかなぁ…。








先ほど出て行ってしまったばかりのAを思い出し、善逸は、恥ずかしさと寂しさと、少しばかりの嬉しさでなかなか寝付けなかった。

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革ベルト

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伊黒小芭内


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作者名:春風の通り道 | 作成日時:2020年3月24日 21時

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