遠くのバラより近くのタンポポ (ページ24)

今日:13 hit、昨日:19 hit、合計:17,656 hit

弐拾参ページ24

「美味しかった～～！！」

「あぁ！今日は格別だったなぁ！」

夕飯を食べ終え、部屋に繋がる廊下を進んでいた。

どうやって話を切り出そう………。

さっきからずっと考えていたが、私はなかなか話し出せないでいた。

そんな私を見かねてか、炭治郎が、

「少し縁側で夜風に当たっていこう。」

と提案してくれた。

「そうだな！月が綺麗だし！」

と、善逸も気遣ってくれたようだ。

「あの、2人とも、ありがとう。」

2人は優しく微笑んでくれた。

そんな2人を見て安心した私は、庭で駆け回る伊之助を眺めながら、話し始めることにした。

宇髄さんの継子になること、屋敷に住み込みであること、会えることが少なくなってしまうかもしれないこと…。

「みんなで過ごす毎日が、とても楽しかったから、私…寂しいのかもしれない…。」

心の底から出た弱音だった。

怖かった。不安だった。
こいつはダメなやつだって、みんなが私から離れていってしまうんじゃないかって。

ぎゅっと目を閉じて、隊服のスカートを握り締めた。

でも、きっとこの人たちなら…きっと…きっと…！

不意に羽織を引っ張られ、その方向に目を向けると…

「えっ、善逸…。どうして

泣いているのよ…？」

善逸が泣いていた。

「なんだ、紋逸。お前、また泣いてんのか？」

「こら！伊之助！しょうがないだろ！善逸にだっていろいろ………。」

「うるせぇ！」

「おい！どこ行くんだ！？伊之助！」

2人は、廊下の奥へと消えていった。

それにしても、善逸って静かに泣けたんだ。

とか、のんきなことを考えていた。

「Aちゃん、俺も寂しいよ…。やっと会えたのにさぁ、また離れ離れになっちゃうわけ？どういうこと？もう一体どういうこと？」

グチグチ文句を言いながら、シクシク泣く善逸に語りかける。

「あのね、私ね、…おじいちゃんの本当の孫じゃないの。
」

「…えっ？でも、Aちゃん、桑島でしょ？？」

今まで言わなくてごめん。
嘘ついててごめん。
ちゃんと話すから、どうか優しく受け止めて。

大好きな人………。