遠くのバラより近くのタンポポ (ページ15)

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拾肆ページ15

善逸は、激痛の走る柔軟を笑顔でこなし、反射訓練、全身訓練では、勝ち星を挙げ、カッコつけて見せた。

「勝負に勝ち、戦いに負けた！
Aちゃん、褒めて！俺勝ったよ！」

アオイさんにボッコボコに殴られた善逸を見て、自業自得なのだが、少しかわいそうになって、

「う、うん！すごいね！」

と褒めてあげると、善逸は嬉しそうにスキップをして、次の訓練へと向かった。

そんな善逸に続いて、負けず嫌いの伊之助。

私と炭治郎は、負け続けてずぶ濡れだった。

ただ、善逸と伊之助が順調なのはここまでだった。

カナヲには勝てない。誰も彼女の髪の毛1本すら、触れなかった。

負け慣れていない伊之助は不貞腐れてヘソを曲げ、善逸も早々と諦める態勢に入った。

「………」

「伊之助…」

「うむ、俺にしては良くやった。遊びに出かけよう。」

「えっ、ちょっと！…善逸…！」

そして2人は、訓練場に来なくなった。

「あなたたちだけ！？信じられない…あの人達！！」

「すみません…。」

「明日は連れて来ますから…。」

「いいえ！あの2人はもう結構です。あなたたちも来たくないなら来なくていいですからね。」

カナヲには負け続け、アオイさんには怒られて、2人は訓練に来ない…。

私も炭治郎もしょんぼりと元気を失いつつあった。