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「へえ・・・」
テレビでホームレスの人たちの生活特集を見たことがあるが、確かにみんな工夫し、上手に暮らしていた。
それに年季の入ったホームレスの人や、リストラされたばかりの会社の人、働くことが馬鹿らしくなったという元弁護士など、いろんな人がいた。
しかし、どうやってもこのおじさんが、あんな風に生活しているとは思えない。
「そして、真衣さんが公園の近くで働かれていて・・・お昼休みでしょうか、よく公園にいらっしゃるんです。
その時、何度かお話をしまして。
すっかり意気投合しました」
「なるほど。
それで、真衣が連れて来たんだ」
俺は真衣へ声を掛ける。
真衣は説明を笹木さんに任せて、テーブルの上に湯呑みや箸を並べていた。
「そうそう。
寒いしねえ。
っていうか、笹木さん駄目なんだ。
本人はこう言ってるけどさ、公園暮らし下手だよ。
だから連れて来たの」
真衣は、台所からお吸い物のお椀を運びながら言った。
「でも笹木さん。
一時的に家に戻ったりとか、できないんですか？」
「家は別れた家内がアロマセラピーの店に改造してしまいまして。
とても近づける様子ではありません」
他人の家にはすんなり上がり込める笹木さんは、気弱に言う。
「笹木さんの実家はどうなんです？」
「実家にこのような姿を見せるわけにもいきません」
「はあ・・・」
全く知らないホームレスのおじさんが、図々しく家に上がり込んでいるのだ。
さっさと放り出せば良い。
そうなのだけれど、笹木さんの穏やかで上品な空気は、無下に�犁△辰討�れ�瓩箸聾世て颪い發里�あった。
「さあ食べましょう、お寿司。
一応今日は、竹ランクを頼みました」
真衣はそう言って、立ち尽くしていた俺と笹木さんに席に着くように促す。
真衣はいつもの席とは違って俺の隣に座り、笹木さんが俺の向かいに座った。
「なんだかすみません」
笹木さんはそう言いながらも「頂きます」と手を合わせた。
俺もつられて「頂きます」と言う。
「色々ややこしいけどさ、時間をかけて他人の事を知っていくのも、なかなか面白いじゃない。
ほら、私たち付き合って3年も経つしさ。
同棲だって1年半でしょう？
なんだかマンネリだし、犬でも飼おうかって朋也も言ってたじゃん」
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作者名：真 | 作成日時：2022年5月22日 15時
