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今回のおせちの中で、黒豆が1番出来が良い。
「それに私たち、こんなんだからね」
「『こんな』って、何かマズイことをされているのですか？」
「いや、マズイことはしてないけど。
親って同棲とか嫌うでしょう？
けじめがないとか言ってさ。
兎に角帰ると�爐匹Δ垢襪弔發蠅覆鵑性瓩辰董△修譴个辰�り。
五月蝿くて面倒なの」
「それはいけません。
親というのは、面倒臭いことを言うものなのです」
笹木さんは顔をそっと顰める。
その様子がいかにも先生みたいで、この人は教壇に立ってたんだなと、改めて思った。
「親の気持ちも分かるけど。
だけど、いつも同じ話だからさ。
電話で話してる時ですら、朋也がどんな男なんだって、将来はどうするんだって言うんだもん。
うんざりする」
「え？
朋也さんと真衣さんのご両親は、対面されたことがないんですか？」
笹木さんは、また顔を顰める。
「まあね」
「そりゃ、いけませんよ。
実家に2人で帰って、紹介しなくては。
朋也さん、こんなに立派な方なのに」
「そのうちに」
真衣が適当に答える。
「そのうちって、真衣さん口だけでしょう。
早々に帰った方が良いですよ」
「そう言う笹木さんだって、実家に帰ってないじゃないですか」
「え？」
「笹木さん、お正月なのに実家じゃなくて、見ず知らずの家にいるんですよ。
私たちよりよっぽど変です。
笹木さんこそ、最近実家に帰ったのはいつですか？」
「本当だ。
何年も帰っていません」
笹木さんは真衣に突っ込まれ、顔を赤くした。
「ほらほら」
「いやはや、これは失礼しました」
「まったく、本当ですよ」
真衣は偉そうな口振りで言うと、けらけら笑った。
・
・
1月2日の朝。
俺と真衣がいつもより遅めに起きてリビングに行くと、笹木さんが僅かに改まった格好をしていた。
「どうしたんですか？」
真衣が大きく伸びをしながら聞く。
「今日は2日ですね。
書き初めを致しましょう」
「書き初め？」
「あれ、書き初めをご存知ではない？」
笹木さんが小さく首を傾げる。
勿論、書き初めくらいは俺でも知っている。
小学校や中学校の時、必ず冬休みの宿題に出ていた。
「そっか。
書き初めって、2日にするものだった」
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作者名：真 | 作成日時：2022年5月22日 15時
