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見つけた瞬間はドキリとするが、落ち着けと言い聞かせた。
これは孵化したばかりの、アゲハ蝶の幼虫。
アゲハの幼虫は、柑橘類の葉が大好き。
あのヨトウムシと同じく、大きくなると非常に厳しいザ・イモムシな外見になるが、まだこの段階なら対処は可能。
「・・・こんなのつまんで、駆除しちゃえば良いのさ」
わざと鼻歌交じりにキッチンへ行き、楊枝2本とビニール袋を持って、またベランダに戻ってくる。
これを、こうして、こうだ！
楊枝を箸のように使って、小さな幼虫を摘んで袋に入れる。
慌てず騒がず、スタイリッシュに害虫駆除。
真衣は自分で自分を讃えながら、ブロー前の髪を掻き上げる。
そうして隣のこぶみかんの鉢を見たら、今度はザ・イモムシにまで育った幼虫が、コンニチハ！と葉を啄んでいた。
「ぎゃー！！」
結局騒いしまった。
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真衣は軽くパニックになりながら、玄師の部屋の合鍵を引っ掴んで、玄関を出る。
米津さん！
大変だとインターホンを鳴らすが出る気配はなく、今度は鍵の方を突っ込んで、強行突破を試みた。
廊下、キッチン、リビング、ベランダに、玄師の姿は無い。
寝室のドアを開けたら、玄師はまだベッドで寝ていた。
ーーその姿を見て、急に�牴燭笋辰討鵑了筬瓩函⇔篝鼎砲覆襦�
おい、今は何時だ。
いくら普段なら起きている時間帯とは言っても、朝は朝。
もしかしたら玄師は、昨晩遅くまで仕事をしていて、ようやく寝たのかもしれない。
「ーー真衣？」
その場で踵を返して退場しようとしたら、玄師のくぐもった声がした。
「・・・ごめんなさい、米津さん。
ちょっとお願いがあったんですけど、もう大丈夫です」
「遠慮しないで。
用があるんでしょ」
あるにはある。
でもあのヨトウムシだって、最終的には自力で退治できたのだ。
今回だって、頑張れば何とかなるかもしれない。
太陽の下というのが視覚的にハッキリして厳しいが、目を瞑ってこう、バシッとビシッとポーンと捨ててしまえば、きっと。
葛藤する真衣の前で、玄師がゆっくりと身を起こす。
寝乱れた格好のまま、彼は俯き加減に大きく欠伸をした。
ベッドサイドに近づいた途端、玄師の長い両手が真衣の体に伸び、そのままベッドに引き倒される。
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作者名：井原 | 作成日時：2023年2月28日 3時
