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「蛹は見せなくて良いです！！」
なんつー物を寄越してくれるのだ。
向こうがわざわざ白い何かを近づけようとするので、真衣は目を瞑って防御した。
「だいたい余計な物が取り除けたら、次は殺菌。
お湯の出番だ」
玄師はベランダを出て行き、今度はキッチンから件の寸胴鍋を持って戻ってきた。
丁度沸騰したばかりらしく、もくもくと大量の湯気が上がっている。
「危ないから退いてて」
「は、はい」
サンダルのまま1歩下がったところで、玄師が鍋の熱湯をプランターに注ぎ込む。
土はたっぷりとお湯を吸い込み、吸い込まれたお湯は、プランターの底から湯気と共に流れ出ていった。
ーーまさかパスタではなく、土の殺菌に使うとは。
「この間までベビーリーフが生えてたのに、熱湯殺菌が必要なんですか？」
「生えてたから問題なんだ。
�猩∈郛祿沖瓩辰栃垢い燭海箸覆ぁ�」
「連作・・・」
あるような、ないような。
「要は同じ所に、同じ作物を続けて植えたら駄目ってこと。
これにも次の野菜の生育を阻害する虫や菌が混じってるかもしれないから、どんな形であれ殺菌は必要」
「はー」
感嘆の声が出た。
プランターは、まだホカホカと湯気を上げている。
「今回は量がそんなに無いから、こうやってお湯かけて終わり」
「他にもやり方があるんですか」
「色々ね。
黒いビニールで密閉して直射日光当てたり、逆に冬場の霜に当てたり」
「なるほど。
じゃあ米津さん、これは冷めたら、また苗や種子が植えられるってことですか？」
「いや。
このままじゃ菌もいない代わりに、栄養も全然無い。
だから、新しく腐葉土か堆肥を足してあげるんだ」
玄師は、やる事は済んだとばかりに、プランターを日の当たる方向へ押しやった。
「ーーさてと、真衣。
今度は俺たちの食事だ」
「ついに！」
我ながら現金ではあるが、腹拵えには期待してしまう。
「どうせならネタに走ろう。
そこにあるリーフレタス、全部収穫しといて。
あの映画の砦と野菜に敬意を表して、レタスを食べよう」
「イエッサー！」
思わず敬礼をする真衣であった。
・
・
レタスだ、美味しいレタスだ。
普段はちまちまと外葉から剥がして収穫するリーフレタス。
今回はざっくり根元からハサミを入れ、丸ごと頂いてしまう。
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作者名：井原 | 作成日時：2023年2月28日 3時
