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振り返ると、日傘をさした人が立っている。
今の醜態の一部始終を見られていたのかと思ったら、余計に顔が熱くなった。
「ごめんなさい、笑ったりして」
レースの日傘を傾け、その人は言った。
白髪にふんわりとパーマを当てた上品な老婦人が、優し気な笑顔を向けて真衣を見ていた。
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その日の夜。
バイト先から帰った真衣は、鶴丸の自宅に直行した。
時刻は21時を回ったところだが、この時間ならまだ自宅にいる筈だ。
チャイムを押して待っていると、インターフォンから鶴丸の声が聞こえた。
『はい』
何時もならすぐドアを開けてくれるのにーー真衣は首を傾げる。
「私、真衣だけど。
ちょっと話したいことがあって」
すると、少し沈黙してから鶴丸が答えた。
『悪いな。
今、来客中なんだ』
「そうなんだ、ごめん。
また改める」
早く鶴丸に報告したくて気が急いでいたせいか、来る前に連絡を入れることを忘れていた。
素直に引き返そうとした途端、ドアが内側から開く。
「帰ることないわよ。
どうせ私、もうすぐ引き上げるし」
そう言って顔を覗かせたのは、20代半ばくらいの、色気の漂う美人だった。
ラフな白シャツにジーンズというシンプルさだが、背が高くスタイルが良いため、驚くほど見映えする。
緩くウェーブした髪は長く、日本人離れした華やかな顔立ちもあって、モデルのように見えた。
「折角来たんだから上がっていきなさいよ。
ま、私の家じゃないけど」
少し低めのかすれた声で女性は言うと、無造作に髪をかき上げ、真衣を迎え入れたる。
「大した用事じゃないので、別に後でも・・・」
溢れんばかりに漂う色気に軽い敗北感を覚えつつ、真衣は後退る。
しかし「なに遠慮してんの」と腕を引かれ、玄関に引っ張り込まれた。
�狃ね緇讚瓩諒源�が頭の中で電飾のように明滅していたが、別にやましいところは無いと思い直す。
「連れて来たわよ、彼女さん。
追い返すことないのに」
リビングに入って女性が告げると、鶴丸が軽く息を吐いて真衣を見る。
「ただの友人だ。
妙な気を回すな」
「友人ね・・・まあ、いいわ。
私は日向よ。
宜しく」
手を差し出され、真衣は自分も名乗ってからその手を握る。
大きくてしっかりした手だなーーと思った後で、日向という名前に聞き覚えがあるのに気付く。
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作者名：真 | 作成日時：2023年2月1日 21時
