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おそらく後者だろうと真衣は思う。
「何で私、うどんなんて打っちゃったんだろ・・・」
『最高のうどんを作ってみせる！』とか言いながらうどんを捏ねていた気がするが、我に返ってみると、そんなにうどんが食べたかったわけではない。
遠い目をしている真衣の横では、鶴丸が�狆辰轡乾爿瓩班召気譴深蠕修里Δ匹鵑鮨�していた。
「やっぱりこのくらいコシがあった方が、歯応えがあって良いと思うんだが」
『改良すれば下の店で出せるかもな』なんてことまで言っていたので『うどんが出てくるカフェって斬新だね！』と明るく返した。
しかし完成品を食べた今は、考え直した方が良いとしか言えなかった。
「で、用は何だ？」
鶴丸作のうどんを持て余していた港川は、水を向けられるとハッとした顔で丼を脇に避けた。
「ここ数ヶ月の噂の分布図が出来たんでね、持ってきたんだよ」
港川はカウンターの上にモバイルパソコンを置くと、分布図を画面に表示させる。
「噂って・・・どろぼう猫の？」
「知人にその手の分析が得意な人間がいるんです。
彼にネット上から抽出したどろぼう猫の目撃証言をマッピングしてもらったんです」
簡単に言えば、現在どの辺りで多く噂が囁かれているか、といった事が地図上に示してある。
どろぼう猫探しは港川も手伝っているが、初めは2人とも本気でやるつもりはなかったらしい。
それが本格的になったのは、どちらも凝り性で、鶴丸に時間が有り余っていたせいのようだ。
「これを見ると、一時期は関西方面に広がっていた噂が、また関東に戻ってるみたいだな」
「そうなんだ。
噂の広がりや証言の数を見ると、主に中部から西日本に移動していったのが分かるんだけど、最近は都内でどろぼう猫の噂がぶり返してるみたいでね」
人の口を伝わる噂が一時的に下火になり、また復活するというのはよくある話だ。
全国に広がった噂の全てが同じ猫を指しているとは考え難いと、港川は言う。
「国永が会った猫と、今回噂されてる猫が同じどろぼう猫なのかは分からないよ。
こればっかりは実際に捕まえて確かめるより他にないからね。
ただ都内で目撃証言が増えてるってことは、青い目の黒猫が実際に現れた可能性が高いんじゃないかな。
ネット上の証言だけじゃ、根拠には乏しいけどね」
港川は慎重に付け加えた。
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作者名：真 | 作成日時：2023年2月1日 21時
