なんでも承りますよ〜4〜 (ページ6)

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玄師は手を叩いてやった。

「おめでとうございます。
今日の王様は真衣さんですね」

「ありがとうございます。
八百長だと分かっていても、結構嬉しいですね」

素直にキャッキャとはしゃぐ真衣を見て、玄師はポンと手を打った。

「真衣さん、お願いがあります。
王冠をもっと作って下さい」

上機嫌な真衣は軽く「はい」と返事をした。

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平間家の正月におせちはない。

中学生の建人と小学生の理恵は、毎年おせちをひと口も食べない。

夫はお酒さえ飲めれば食べる物は何でも構わないので、おせちに大して興味がない。

そんな訳で、沙織は数年前からおせち作りをやめた。

それでもご馳走様を用意しようと奮発した元日の蟹鍋も、健人はスープをちょっと飲んだだけ。

2日のちらし寿司には箸もつけず、お腹を満たすためにカップラーメンばかり食べていた。

子供たちはそれぞれゲームをして、夫はテレビを見て、皆んなバラバラに過ごしている。

子供達がもっと小さかった頃は、こんな事はなかった。

沙織はキッチンで1人、そっと溜息を吐いた。

「何してんの」

健人が冷蔵庫を開けながら声をかけてきた。

「晩御飯の支度をしようかなって。
ねえ、今夜何が食べたい？」

「何でもいい」

健人は機嫌の悪そうな声を出す。

最近はずっとこんな調子だ。

夫は「反抗期なんだろう。返事をするだけまだマシだ」と言うが、沙織は納得いかない。

親に冷たいのは成長している証拠なのだと分かっているが、寂しい気持ちはどうしようもない。

どうにかして、小さい頃のように笑って話しかけてほしかった。

「何でもいいって、何かない？
誕生日だもの。
好きな物、なんでも作るわよ」

「カップラーメン」

言い捨てると、ジュースを持って健人はキッチンを出る。

沙織はまた、溜息を吐いた。

結局、夕飯は娘のリクエストでハンバーグになった。

理恵ははしゃいでいたが、健人はムッツリと食べ物を口に突っ込んでいる。

殆ど噛まずにハンバーグだけ飲み込むと、他のものには手を付けず無言で席を立った。

沙織は慌てて健人を呼び止める。

「ちょっと待って」

健人は不機嫌な顔のまま振り返る。

「ケーキがあるの、変わったケーキよ。
皆んなで食べましょう」

夫と娘はまだハンバーグを食べているが、かまわない。