なんでも承りますよ〜4〜 (ページ48)

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親指の頭くらいの大きさのピンク粒が5つ、放射状に繋げられている。

「落とした物では縁起が悪いんじゃないかな。
元々ドラジェはお祝い事に使うもので、いわゆる験担ぎだからね」

「どんな験を担いでるんですか？」

「この袋には、5粒のドラジェが入っているでしょう。
幸福・健康・富・子孫繁栄・長寿の5つの意味が、それぞれに込められているそうです。
だから5粒セットで配るんですよ。
ヨーロッパの色々な国で結婚や出産、それからキリスト教の洗礼を受ける時なんかにも使われます」

玄師は説明しながら、アーモンドをローストするためにオーブンの準備を整える。

「さて。
ローストしたアーモンドが冷めるまではする事がありませんから、富士峰くんの恋の話でも聞きましょう」

「えー。
失恋話を聞いても、楽しくないですよ」

「失恋と決まったものでもないでしょう」

真衣は苦い表情で反論する。

「相手は明日、結婚式なんですよ。
どう考えたって叶うはずのない恋です」

「でも映画みたいに、花嫁攫って逃げるとか」

「富士峰にそんな甲斐性あるもんですか。
花嫁を攫われることなら、想像するまでもなくあり得ますけど」

「うーん。
そう言われると、そうとしか思えないところが富士峰くんの良さだよね」

「あの・・・」

2人は富士峰の声に振り返る。

厨房にそっと入ってきた富士峰は、暗い顔で俯いている。

「僕、そんなに情けないかな・・・」

「まったくもって情けないわよ」

「うん、否定はできないね」

富士峰はわなわなと手を震わせると、キッと顔を上げた。

「頑張ります！
僕、花嫁をさらいます」

3人は和やかに富士峰をいじって、いじられて時間をつぶした。

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オーブンから取り出したアーモンドが冷めたら、爪楊枝を刺していく。

鍋にグラニュー糖、水、水飴、天然色素を溶いたピンク色の色水を入れて火にかけ、フォンダンを作る。

温度調節をしながら煮詰め、一旦火から下ろして冷ましながら練る。

白っぽく固い状態になったら再度火にかけ、滑らかになるまでよく混ぜる。

出来上がったフォンダンをアーモンドに流しかけ、爪楊枝側をスポンジに刺して乾かす。

白っぽく固い状態になったら再度火にかけ、滑らかになるまでよく混ぜる。