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「おーぅるぁ！！」
巻き舌が出来ていないスペイン風の挨拶をしながら、自称アントニオ大嶋が万歳ポーズで店に入って来た。
「こんにちは、大嶋さん」
大嶋は人差し指を立てると「ち・ち・ち」と言いながら、その太い指を振る。
「�爛▲鵐肇縫��瓩辰童討鵑任�れなきゃあ。
さあ、もう1度！」
「Hola！
アントニオさん」
真衣がフフッと笑いながら返事をすると、大嶋は満足気に頷いた。
「べりーぐっど！
で、店長はいるかな？」
真衣が厨房を覗くと、ついさっきまで鍋を磨いていた玄師の姿が消えていた。
真衣は店舗に戻ると、口笛を吹いている大嶋に頭を下げた。
「申し訳ありません、只今仕入れに出ておりまして・・・」
肩を縮める真衣に、大嶋は上機嫌で両手を振ってみせる。
「じゃあ、予約だけ通しておいてくれ」
真衣は予約票に大嶋がオーナーを務めるスペイン・バル店の名を書き入れた。
「聖ヤコブのアーモンドケーキを、8センチの小型で1ダースね」
「せいやこぶ？のアーモンドケーキを12個ですね」
「ざっつらいと！
3日後にパーティーが入ってね。
悪いけど、うちの店まで届けてくれるかな？
デザートも頼まれちゃってさ」
「料理は全部手作りなのに、デザートは作らないんですか？」
「僕は酒に合わないものは作れないのさ。
酒飲みだからね」
酒飲みとお菓子作りは関係なさそうなのにーー心の中で思いつつ、真衣は配達の旨を記した予約票の控えを大嶋に渡す。
「じゃあ、またね！
あでぃおーす！」
大嶋は元気に手を振って、のっしのっしと出て行った。
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「�爐擦い� こぶ�瓠�
店に帰った玄師に予約票を見せると、玄師は口を手で覆い、暫しふるふると震えていた。
「な、何ですか？」
真衣は驚いて1歩下がる。
キョロキョロと厨房内を見渡して笑いのタネになりそうな物を探したが、特にない。
「真衣さん・・・�爐擦い� こぶ�瓩辰董�何だと思ってますか？」
ウププと笑いながら質問する玄師に、真衣は嫌な顔をした。
「どうせ違うんですよ、どうせ間違ってるんですよ！
それを承知で言います。
聖夜に関係するキリスト的な何かじゃないですか？」
「惜しい！」
「え！
本当に？」
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作者名：真 | 作成日時：2022年7月16日 23時
