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広げたノートを真衣に見せる。
真衣はパッと笑顔になってノートを受け取る。
そのページには1枚の写真と、それに纏わる出来事が書かれていた。
「わ、可愛い！
お人形さんみたい！」
「コイツはしょっちゅう女の子と間違われてな。
その度に泣いちゃって泣いちゃって、もう大変だったんだぜ。
今じゃ190近い大男になっちまったけどな」
「玄師さんにもそんな頃があったんですか？」
「小さい頃はな。
高校生時代には既に、こんな感じだった」
「あれ？
そう言えば、斑尾さんは中学校は玄師さん達と別の学校だったんじゃ？」
「ああ」
「どうして小さい頃の事を知ってるんですか？」
「祖父母の家がこの近くでな。
遊びに来た時に知り合ったんだよ」
「そういう幼馴染だったんですね。
小さい頃の斑尾さんの写真もあるんですか？」
日記帳をめくって写真を探そうとする真衣の手から、斑尾がノートを取り上げてる。
「何するんですか」
斑尾は渋い表情で、真衣の手が届かない高さまでノートを掲げた。
真衣はぴょんぴょん飛んでみたが、指先さえも触れられない。
「俺の写真なんか、見てもつまらんだろう」
「そんな事ないです。
見たいです」
「それよりほら、団子ができてるぞ」
玄師が冷蔵庫からソーダ水を取り出し、ガラスの器に入れたへそ型の団子の上に注いでいた。
「玄師さん？
何してるんですか」
「ソーダ団子を作っています」
真衣が恐る恐る器の中を見下ろす横で、斑尾は嬉しそう笑った。
「懐かしいな、ソーダ団子」
「斑尾さん、知ってるんですか？」
「玄師の爺さんに食べさせてもらった」
玄師は冷たいソーダ団子に砂糖を振りかけ、真衣に手渡す。
「美味しいんですか、これ」
「美味いぜ。
俺が保証するから食ってみな」
「斑尾さんは嘘ばっかりで信用できません」
「俺も保証しますよ」
「では、頂きます」
ツンと斑尾に背を向けて、真衣はソーダ団子をつるりと口に入れる。
「面白い！
ツルツルしてシュワシュワして、口の中がお祭りみたいです」
真衣の言葉を、玄師は愉快そうに聞いている。
「夏！って感じのお団子ですね」
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作者名：真 | 作成日時：2022年7月16日 23時
