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生地が耳たぶほどの柔らかさになったら、綿棒のように伸ばして数個に千切る。


「6個はどんな意味なんですか?」


丸めた団子を小皿に乗せ、蒸し器に入れてから玄師は口を開いた。


「6個の団子を食べることで、六道輪廻を超えて成仏できるようにって意味らしいよ」

「何ですか、ろくどうりんねって」

「六道輪廻ってのはだね、この世界には人間界以外にも5つの世界があって・・・」


突然、厨房に顔を出した斑尾が早口で真衣の質問に答えようとした。

真衣は斑尾のマシンガンのような速口にも頓着せず、いつもの調子で言葉を返した。


「あら、斑尾さん。
お仕事はもう終わったんですか?」

「いや、だから真衣ちゃん、最後まで聞いてくれないか」

「何をですか?」

「六道っていうのは、天道、地獄道、修羅道・・・」

「そうだ玄師さん。
お花見団子にも由来があるんですって」


真衣は無邪気に斑尾に背を向け、玄師に話しかける。

何時もの如く言葉を切られた斑尾は、開いたままの口を真衣の背中に向け、目をむいて舌を出してた。

玄師が吹き出し、真衣が何事かと振り返った時には、もう斑尾はすました顔する。


「斑尾さん、今何かしました?」

「いいえ、何も致しませんが」

「嘘です。
その口振りは嘘をついてます」

「嘘なんか吐きませんことよ」


玄師は2人のやり取りを笑いながら、上新粉と砂糖を新しいボウルに入れる。

さらにやや熱いくらいの湯を、入れ捏ねていく。

捏ね上がったら3つに分けて、大きめの団子にまとめる。


「だいたい、斑尾さんはいつも嘘ばっかりなんです」

「俺は生まれてから1度も嘘なんかついた事ないぜ」

「ほら、また嘘ついて」

「嘘じゃないって」

「この前だって、鍋物の取り皿、あのでっぱりがちょっとある丸いお椀!
アレの名前、ウンスイって言いましたよね?
あれ、本当はトンスイって名前だそうですよ!
雲水はお坊さんのことだって笑われました!」

「2つも勉強になって良かったじゃないか」

「よくありません!」


玄師は黙々と蒸し上がった砂糖無しの真っ白な団子を取り出し、代わりに次の3つの団子を入れていく。


「それに、水族館で買ったお土産としてキクラゲくれたけど、キクラゲはクラゲじゃなくてキノコだそうですよ!」

「でも、美味しかっただろ」

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作者名: | 作成日時:2022年7月16日 23時

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