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「あの、もうお店閉まっちゃいましたか？」
店の扉に�犇牴貎掲��瓩判颪い浸罎鯏修衂佞韻討い真唇瓩稜悗法⊇�性が声を掛けた。
上品な服を着て高そうなバッグを持っているのに、何故かくたびれた印象を受ける女性だった。
「申し訳ありません、今年の営業は終わりまして」
「予約だけ、お願いできませんか」
女性は申し訳なさそうに肩を竦めて小声で言う。
「はいっ！」
年の最後に舞い込んだ予約に、真衣は大喜びで女性を店内に招き入れた。
「こちらでは、注文したらどんなお菓子でも作って下さると聞いたのですが」
「はい！
ご予約頂けましたら何でも。
当店に無いお菓子はありません」
玄師の店は、注文されたお菓子はどんな物でも作る。
アメリカ、アフリカ、ヨーロッパのお菓子、物語や映画に出てきたお菓子でも美味しく作り上げる。
それは店主である玄師のモットーで、真衣はそんな彼の姿勢を尊敬していた。
女性は安心したように息を吐くと、腕にかけているバッグから1冊の雑誌を取り出して、ページを広げる。
「このお菓子をお願いしたいの」
そのページに載っていたのはガレット・デ・ロワの大きな写真。
パイのような茶色のホールケーキで、表面には植物の葉の模様が模ってある。
「�狄掲�を祝う王様のケーキ�瓩任垢�。
フランスの伝統菓子」
真衣が雑誌の文字を読み上げると、女性は深く頷いた。
「お正月に、ぜひ欲しいんです」
「お正月って、1月1日ですか？」
「いえ、3日なんですけど、お店のお休みはいつまでですか？」
「3日までですが、大丈夫ですよ。
ご予約を頂ければ、休みの日でもご用意致しますので」
真衣は予約表を差し出しながら説明する。
女性は平間沙織という名前と、少し離れた町の住所を書いた。
「遠いのに、わざわざ当店にお越し下さったんですか？」
「ええ。
凄く美味しいっていう話を聞いて、ぜひ食べてみたくって」
「ありがとうございます。
とっておきをご用意しますね」
真衣の言葉に頷いた沙織は、鞄の中から小さな包みを取り出した。
「それで、フェーブはコレを使って欲しいんです」
沙織は雑誌の文字を指差す。
真衣はその文章を読み上げた。
「『このお菓子の中には、フェーブという陶器製の人形が1つ隠され、それを引き当てた者に紙製の王冠が贈られる』」
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作者名：真 | 作成日時：2022年7月16日 23時
