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「真斗くんは大人だねえ。
人の気持ちを思いやれるって、相当な大人っぷりだよ」
「でも、本当はサンタクロースを信じているマネも疲れるんですよ」
真斗は子供らしくない溜息を漏らした。
「親に合わせるのも大変です」
真衣が同情したような表情を浮かべたのを見て、真斗は慌てて否定した。
「あ、でも大丈夫です！
僕も楽しんでやってますから」
「本当に大丈夫？」
真衣に聞かれた真斗は、困って曖昧に笑った。
そんな顔をされたら自分の方が何も考えていない子供のように感じて、真衣は黙り込んだ。
2人の会話を聞いているのかいないのか、玄師は自分用のぜんざいを作ってもりもりと食べていた。
「玄師さんはどう思います？」
「何についてですか？」
「何にって、えーと・・・真斗くんが楽しいかどうか」
「それは真斗くんに聞かないと。
ねえ、真斗くん」
真斗は困ったように笑う。
「僕は大丈夫だよ」
真衣は真斗が何かを諦めた世捨て人のように見え、悲しくなった。
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家に帰ると、母親の夏菜子が玄関で真斗を待ち構えていた。
「真斗、塾をサボったって連絡があったわ」
叱られる覚悟をしていた真斗は素直に謝った。
だが、夏菜子は叱りつけることなく心配な顔をした。
「何かあったの？
友達と喧嘩したとか、塾で嫌なことがあったとか・・・。
もしかしてイジメとか・・・」
的外れな夏菜子の言葉に、真斗はプッと吹き出した。
「違うよ。
ちょっと遊びに行っただけ」
「遊びにって、何処へ？」
「商店街の向こうにあるお菓子屋さん。
玄師さんっていう人のお店なんだ。
学校の友達と、何度か遊びに行ったことがあって」
夏菜子は渋い顔をして黙り込む。
今日は塾をサボったし、知らない人の所に何度も勝手に遊びに行っていると聞いて、心配を通り越して腹が立った。
無言のまま真斗の手を取ると、靴を引っ掛けて玄関を出る。
「お母さん？
何処に行くの」
夏菜子は黙ったまま真斗を引っ張って歩く。
真斗が帰って来た道をそのまま辿って、2人は店にやって来た。
ドアを開けた夏菜子はツカツカと店内に入り、堅苦しい表情のまま、ショーケースを挟んで真衣と対峙した。
「うちの子がお世話になったそうですね。
ご面倒をお掛けしました」
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作者名：井原 | 作成日時：2022年11月24日 22時
