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真理亜は下を向いて黙り込む。
和佳子は打つ手がなくて、天を仰いだ。
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「玄師ちゃん。
やっぱり、真理亜ちゃんを放っておけない。
作戦会議よ」
和佳子は探偵顔負けの捜査能力で放浪していた玄師を探し出し、ぐいぐいと菓子店に引っ張って行った。
店に辿り着くと、斑尾と真衣が情け無い表情で話していた。
「どうしたの2人とも。
そんなペンギンが欠伸したような顔をして」
「これ見て下さい。
今、斑尾さんが持って来てくれたんですけど」
真衣が差し出したのは1枚のチラシだった。
そこには、カルチャーセンターの新規開講クラスの紹介が小さく小さく載っていた。
その中の1つに、真理亜のサンバ教室があった。
教室名は�爛螢�の風 サンバ教室�瓩箸覆辰討い襦�
「『西宮真理亜は、本場ブラジルで修業を積んだ実力者』。
白崎さん、真理亜さんはブラジルに行ったことがあるんですか」
「いいえ、そんなことは言ってなかった。
そもそもブラジルで修業していたなら、臆病になる必要がないわ」
斑尾は天井を見上げて溜息を吐く。
「中田さんは気が逸ったのかもな。
カルチャーセンターの立ち上げにかける意気込みは凄かったから」
和佳子はチラシを見て悲しそうに呟いた。
「真理亜ちゃん、こんな誇大広告を出されて大丈夫かしら。
倒れたりしなければいいけど」
玄師は和佳子からチラシを受け取りながら尋ねる。
「西宮さんは、そんなに気に病んでるんですか」
「そうなの。
なのに我慢しててね、可哀想なくらい」
「生真面目過ぎて苦労するタイプか。
しかもその人は相当な努力家なんでしょう？」
「そう、よく分かったわねえ。
真理亜ちゃんが社交ダンスで賞を取ったのも、誰よりも真面目にダンスに取り組んだからだもの。
ラテンが得意なんだから、もっとラテン系なノリで生きていったらいいと思うんだけど・・・」
和佳子はパッと顔を輝かせ、玄師の腕を揺さぶった。
「そうだ玄師ちゃん。
ブラジルのお菓子を作ってくれない？」
「ブラジルのお菓子ですか？」
「ダンスパーティーをしましょうよ。
真理亜ちゃんを励ます会。
お菓子とダンスで、きっと元気が出るわ」
「いいですね。
お菓子はどんな物にしましょう」
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作者名：井原 | 作成日時：2022年11月24日 22時
