なんでも承りますよ〜7〜 (ページ18)

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「俺はゲテモノ専門のフードライターじゃないんですよ、和佳子さん」

フードライターを生業としている斑尾は、食関係の仕事を広く請け負っている。

地元のフリーペーパーにも、定期的に記事を載せている。

「カルチャーセンター、どんな感じ？
ちゃんとしてる？」

「評判は悪くないですよ。
所長も新進気鋭の経営者で、やる気がある。
ただ少々、強引な印象はあったな」

「その強引さに真理亜ちゃんは押し負けたんだね。
きっと1人じゃ『無理です』って断りを言い切れなかったのよ。
どうしたら良いのかしら」

「あんまり世話を焼きすぎるのもどうかな。
大学生にもなったんだ。
自分の進退ぐらい、自分で決めるべきじゃないか」

斑尾が硬い声で言うと、真衣が目を丸くした。

「女性に優しい斑尾さんがそんなこと言うなんて珍しい」

和佳子も驚いているようで、パチパチ瞬きしている。

玄師が3人の間にのんびりと入り込む。

「無理だと断るにしても、やる気を出して引き受けるにしても、真理亜さんの気持ちが第1でしょう。
どちらを選んでも、助けが必要な時には、俺も微力ながら働きますよ。
勿論、真衣さんも斑尾も」

言いたいことを全て玄師に横取りされた斑尾は、ただ黙って頷いた。

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和佳子から詳細を聞いた真理亜は、肩の荷がちょっぴり下りたような気がした。

どんな道を選んでも、自分の味方になってくれる人がいる。

それはとても心強いことだ。

兎に角今は自分に出来ることをしようと、有名なサンバダンスの教室に行ってみた。

恐ろしいほど早い拍子に臆することはない。

しかし、サンバダンスを踊り慣れた人たちとは、やはりどこか違う。

自分のダンスは硬く、南国を感じさせるのびのびと自由なダンスにはなりそうもない。

サンバダンスの世界でパシスタと言われるソロダンサーが東京にいると聞いて、個人授業を受けにも行った。

技術は褒められたのだが、自分が踊ると何か違和感がある気がして、真理亜は納得できなかった。

自分にはサンバダンスの魂が宿っていない、自由を求めて踊り出した人の歴史が見えていない。

サンバダンスの魂って何だろう。

ブラジルの人にしか分からないものなんだろうか。

リオのカーニバルの映像を何度も見たり、サンバのショーがあると聞けば見に行ったりした。