知らない気持ち ページ5
心臓の高鳴りを覚えた。
「なに...」
「なにって...分かってんだろ?」
そういい、
雅斗は私の髪を首の後ろに流す。
「やめなさい。」
私は机の上に置いてあった
カッターを雅斗の目の前に差し出した。
「...なにそれ...反抗したつもり?」
少し不機嫌そうだった。
「反抗でなかったらなんです。」
雅斗は、チッ、と舌打ちをした。
「簡単には行かねーな、プリンセスさんはよ」
そう雅斗は言った。
なんだろう、この気持ち。
私の知らない気持ち。
なんとも言えないな。
「ところで、なんでここで働くの」
「ん?俺がここで働く理由?んなモン一つさ」
そういい、雅斗はゆっくりとこっちを向いた
その顔は、
この世のものとは思えないほどーーー
美しく、怪しかった。
そうか、そうだ。
"こいつ"は人間じゃないんだ。
「プリンセスさんの血をいつでも貰えるようにだよ」
理由になってない気がするが。
その時の雅斗の顔が、
なぜだか、悲しげに見えてきた。
ななんだろう、なんだか、
懐かしいような...
とにかく、
そこには私の知らない気持ちがあった。
「そうなの。意味がわからないわ。」
そういい、私は部屋を出た。
私は知らなかった。
私が部屋を出た時、
雅斗がとても悲しそうな顔をしていた事を。
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作者名:ぽむぽむ | 作成日時:2017年4月17日 0時