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9 二卵生双子 6 ページ9

スングァナは「えっ?」と目を丸くしていた。
しかしすぐに私の気持ちを悟って持っていたカップを渡してくれた。

『ありがと』

呆れたみたいに私の横を通り過ぎてジスさんとハンソルくんと談笑を始めた。



せっかくジスさんが来てくれたんだから私が作ってるところを見てほしいのだ。

とはいえフラペチーノを作るのは久々。
いつもスングァナが作ってくれていたから…。

私は『すぅー…』と深呼吸をした。


カップにフラペチーノを入れたあとクリームの入ったムースケースを2、3回振る。
腰をかがめて円を描くようにクリームをのせていく。
最後にキャラメルソースを蛇状にかける。

『ほっ、できた…』

カップの蓋をつけて おなじみの緑のストローを取った。

『おまたせしました〜』

ジスさんの前のカウンターにそれらを静かに置く。

ほぉ〜…頑張った…


「お前ずいぶんクリームのせたな」

ひと安心つかの間 スングァナに指摘され
『しまった!』と心の中で叫んだ。

夢中になってるうちにかなり多めのクリームをのせてしまった。

『ご、ごめんなさ』

私は作り直そうかと思ったけれどジスさんは「いいよ」とカップにストローを差した。

「俺これ多いほうが好きだし」

きた、王子様スマイル…
甘党なんだ…さすがジョンハナと双子…
そして 一口。

「うん、おいしいよ
ありがと Aさん」

またきた、王子様スマイル…

ここまでで私の心臓はドキドキしまくってる。

『いえいえ…こっ こちらこそありがとうございます』

私は深々と頭を下げた。

「…何これ」

ジスさんはカップの表面を見て「?」みたいな顔をしてる。

「ハムレット…?」

そこには Hamlet という文字とハムの絵が描かれていた。

『あ、それ。ハンソルくんが読んでたんです。ジスさん読書好きって聞いたので知ってるかな、って』

まじまじとカップの表面を見つめてジスさんは「ふはっ」と笑った。

「面白いねこの絵」

手を軽く握った状態で口元を覆う。

笑ってる…美しい…

「ハムレットか 前読んでたよ」

『知ってるんですか?』

「もちろん」

「Aさん 知らないんですって」

ハンソルくんがコーヒーを啜りながら言う。

『ちょっ ハンソルくん…!』

「知らないの?あ なら貸してあげようか?」

『いいんですか?!』

ジスさんが使った本を借りれるなんて…

「もちろん そしたらまたここ来れる」

微笑むジスさん。

ま、また会える…
私の顔は一気に熱くなった。

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作者名:ぶー | 作成日時:2015年10月27日 20時

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